2017年8月
【水曜】神経内科とは
神経内科は脳・脊髄からなる中枢神経とそこから手足に運動の指令を伝えたり、身体の各部位からの感覚を伝えたりする末梢神経、そして筋肉に起こる病気を診る診療科です。例えば手足が上手く動かせないという症状をみた場合、その原因には中枢神経から末梢神経、筋肉に至るいずれかの部位で病気が生じている可能性があります。またその病気にしても神経に血液が通わなくなったため、細菌やウイルスによる炎症やアレルギー反応で神経が壊れたためなど様々なものがあります。神経内科では一連の神経系のどこに、どのような変化が起こったかを突き止めて治療にあたります。これに対して神経内科と間違われやすい精神科や心療内科では神経系を調べても目に見える形での異常は原則としてありません。コンピューターで言えば、神経内科はハードウエアの故障、精神科や心療内科はソフトウエアの故障を扱うといえるかもしれません。
神経内科によくある症状としては、頭痛、めまい、しびれ、物忘れ、手足に力が入らない、手足が振るえたり勝手に動く、喋りにくい、むせる、物がだぶって見える、急に気を失う、意識がはっきりしていないなどがあります。病気としては脳卒中、パーキンソン病、認知症、てんかん、脳炎・髄膜炎などがあり、ほかにも筋萎縮性側索硬化症などの神経に関係する難病も治療します。一部の病気では病態に応じて脳神経外科や整形外科、精神科、眼科、耳鼻科などとも協同して診療にあたることがあります。神経内科の病気は一昔前は診断がついても治らない病気が多いという印象がありましたが、いまでは多くの病気が適切に治療できるようになっています。たとえ根本治療ができなくとも患者さんの生活の質に配慮したいろいろな対応策も増えています。
日本神経学会が認定している神経内科専門医の数は全国で5000名強と限られています。神経内科を標榜している医療機関も各地に十分あるとはいえません。日本神経学会のホームページでは各地域の神経内科専門医を探すことができます。また神経内科で扱う病気の解説もあり、これらは一般の方でも閲覧可能です。受診時の参考にご活用ください。