兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2017年9月

【水曜】便秘の方へのアドバイス

 皆さん、毎日すっきりした排便がありますか?「いつもお腹が張っている」「1日に2~3回排便はあるが気持ちよく出ない」「肛門まで便が降りて来るのに、肛門の所で蓋をされたようで出ない」「洗浄便座のお湯を長く肛門に当てて刺激しないと出ない」このように便秘で悩んでいる方の訴えは様々です。日本人の3割が便秘だと思っていると言われます。

 便秘は大きく二つに分類されます。原因がはっきりしている便秘と、原因がはっきりしていない便秘です。原因がはっきりしている便秘には大腸癌、甲状腺機能低下症、抗うつ剤服用の副作用、などがあります。原因がはっきりしてない便秘が最も多く、いわゆる機能性便秘と呼ばれます。近年この機能性便秘でも腹痛や腹部不快感のあるものを便秘型過敏性腸炎と分類するようになりました。

 とかく軽視されがちだった便秘に対する意識改革が始まっています。十人十色、同じ便秘でも各自の訴えは色々です。かかりつけ医を受診し、担当の先生に充分に話を聞いてもらい、自分の便秘がどのタイプに入るのか診断してもらってください。

 また、癌を見落としてはいけません。必要な検査を受けてください。特に高齢の方の便秘は大腸癌をうたがうことが重要です。検診で行われている便鮮血反応が陰性でも安心できません。便鮮血反応が陽性になる人でも大腸癌の人は3%以下と言われ、絶対的なものではありませんので、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。大腸全体を検査する場合は、あらかじめ大量の水分と下剤を飲んで、腸管をきれいにする必要があります。高齢の方の中には、この前処置が辛く検査をしたくない方が多いようです。そんな方には大腸の下の方のS状結腸、直腸だけでも検査を受けることをお勧めします。大腸の病気の60%はS状結腸、直腸に出来ます。この部分だけでも検査することは充分に意味があります。前処置として大きめの浣腸をするだけで検査します。検査時間は5分ぐらいです。

 日本では便秘と言えば、センナを含んだ刺激性下剤が多く処方されます。ただ、センナは当初はよく効きますが、腸管が次第に麻痺してきて徐々に内服の量が増えてきます。最近は腸管への水分吸収を増やして、排便を促す新薬も出てきています。主治医の先生と相談しながら自分にあった薬剤を決めてください。快適な排便生活で人生を豊かにしましょう。

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