2017年11月
【金土日】インフルエンザの薬
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを原因とする気道感染症です。流行的な広がりを見せるのはA型とB型です。
感染を受けてから1~3日間ほどの潜伏期間の後に、発熱(通常38度以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などが突然現われ、咳、鼻水などの症状がこれに続きます。約1週間の経過で軽快するのが一般的で、いわゆる「かぜ」に比べて全身症状、感染力が強い事が特徴です。
治療は、A型にもB型にも有効な飲み薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)が次々に開発され、治療の主流となりました。発病後2日以内に服用すれば症状を軽くし、重症になるのを防ぎ、期間を短縮することも期待できます。
飲み薬だけでなく、点滴、吸入薬も、あります。商品名は、シンメトレル、タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビルの5種類です。各々特徴があり、年齢や症状等によって使い分けが必要です。ウイルスが大量に増える前に、医療機関を受診して、早期診断、適切な治療を行うことが、大切です。薬の服用に関しては、注意点もしっかり確認してください。
解熱剤の使用に関して、特に「アスピリン」などは、ライ症侯群といって、小児のインフルエンザ脳症を重症化させることがあるので小児への使用は原則できません。解熱剤が必要な場合は通常、アセトアミノフェンという種類の解熱剤を使用します。自己判断での使用は避けて医療機関に、必ず相談してください。
インフルエンザの薬は、予防投与もできますが、自費診療になります。必要な時には、医師に相談して下さい。
従来のインフルエンザの薬の耐性や、副作用から、漢方薬も注目され、使用されています。特に「麻黄湯」は、インフルエンザに保険適応もあります。インフルエンザに対抗する作用に加えて、人が本来持っている免疫力を高める作用もあります。しかし、体質や、症状等によって使用できない人もいますので、必ず医療機関を受診して相談することが必要です。
いずれにしても、予防が基本です。インフルエンザワクチンの接種や、せきなどによるウイルスの拡散を予防するためのマスク着用と、うがい、手洗いを励行してください。疲れをためないことも大切です。最近、点鼻タイプや、貼るタイプのインフルエンザワクチンも、開発されつつあります。いっそう手軽にワクチン接種ができる様になる事が期待されます。