2017年11月
【木曜】男性の性行為感染症
性行為感染症は、おもに性行為によって感染する病気で、近年、日本で急増しています。
若者世代を中心に性行為が日常化したことで、性行為感染症の予防に関する教育や啓蒙活動が、追いついていないためと思われます。例えば、コンドームを装着する避妊行為だけでは完全に防げないことや、「オーラルセックス」による口腔粘膜からの感染なども大きな原因となっています。
泌尿器科では主に男性の性行為感染症を扱います。主な病気として「尿道炎」「性器ヘルペス」、そして、先の尖ったという意味の「尖圭(せんけい)コンジローマ」があります。
まず「尿道炎」は、性行為で細菌が尿道に入って引き起こされる炎症です。原因は、淋菌やクラミジアと呼ばれる細菌です。排尿、つまりおしっこの時に、尿道が痛んだり、むず痒くなり、尿道から膿が出ます。淋菌による感染は1日から3日で症状が出ます。クラミジアによる感染は、通常1週間から3週間で症状が出るものですが、感染していても症状が出ないこともありますし、淋菌とクラミジアが同時に感染することもあります。いずれも性行為で感染しますので、パートナーも同時に検査・治療を受けることをおすすめします。
尿道炎の治療は、抗生物質の飲み薬を使いますが、淋菌は抗生物質が効きにくくなって、治療にてこずることもあります。
次に「性器ヘルペス」は、性器に痛みや違和感を伴って、小さな水ぶくれができ、その水ぶくれが破れて潰瘍になることもあります。ヘルペスウィルスが原因で、いったん治っても、ウイルスが神経に潜み、疲れなどでウイルスに対する免疫が低下した時に再発します。
性器ヘルペスの治療は、ウイルスに対する飲み薬もしくは軟膏を使えば、通常は2週間以内に治りますが、再発を繰り返すときは、飲み薬を続けて服用し、再発を防ぐ方法もあります。
最後に「尖圭コンジローマ」は、性器にイボができる病気で、ヘルペスとは別のウイルスが原因で起こります。治療は、冷凍療法やレーザー治療をする方法もありますが、最近では、免疫力を高めてイボを治療する軟膏が発売され、医療保険で使えるようになりました。
この他の性行為感染症には、「梅毒」や「HIV」「毛じらみ」などがあります。気になることがあれば専門医に相談しましよう。またHIVなどは保健所で、匿名で血液検査を受けることもできます。