2017年12月
【年末年始】高齢者の入浴中の突然死
あまり知られていませんが、入浴中の突然死は交通事故死より多いと言われ、年間1万人以上の高齢者が死亡しています。入浴中突然死は、1年の中では12月から2月までの間が多く、全体の約半数を占めています。65歳以上の高齢者に発生し、特に75歳以上の後期高齢者に頻発し、70歳以上が80%を占めます。男女差は特になく、気温の低い冬に集中的に発生します。
寒い冬の入浴中の突然死の原因は、入浴時に血管が開いて、手足や体に回る血液が増えたために、頭に流れる血液の量が少なくなったり、入浴により水圧が心臓の負担となり、不整脈から失神を起こし、熱い湯の中で、熱中症、極度の脱水を起こし、死に至ります。
また、脱衣場と浴室との温度差、洗い場と湯船との温度差が大きいことも大きな原因と考えられます。すなわち、この温度差が大きいと、血管や心臓に負担がかかり、急激に血管が縮んだり開いたりして、血圧が激しく変化して、心筋梗塞や脳血管障害を起こしやすくなります。
心臓病や高血圧の方は、この危険率がさらに高くなり、死に至ります。自分では健康だと思っている人でも、必ず日頃から血圧や心臓についての健康診断を受けて、体の様子を調べておくことが必要です。
予防するためには、高齢の方は、体調の悪いときには入浴を控えましょう。「一番風呂」や「42度以上の熱いお湯」は、よくありません。理想的には湯は40度がよいです。そして「20分以上の長湯」を避けましょう。肩までつかる日本式入浴法は、水圧が心臓に負担をかけ、突然死を起こすひとつの原因と言われていますので、胸のあたりまでで辛抱しましょう。
高齢者の入浴時間がいつもより長いと思われた場合には、必ず家族や周囲の人が本人に声をかけましょう。これは、入浴時の突然死を防ぐために、最低限必要です。もし不幸にも家の人が入浴中に意識を失っていれば、救急車を呼びましょう。
その上で呼吸があれば首を横にして、楽に呼吸ができるようにし、呼吸が止まっているときは、心臓マッサージをして救急車の来るのを待ちましょう。日頃から、飲酒後や、「体調がよくない」と感じたときの入浴には特に注意しましょう。