2017年12月
【水曜】海外から持ち込まれる感染症
年末・年始の旅行計画を立てておられる方も多いのではないでしょうか。今年は平昌オリンピックを間近に控え、韓国への旅行者も増えることが予想されていますが、旅行の準備のときにパスポートと同じぐらい忘れてはならないのが、渡航先に応じた感染症対策です。
リオ・オリンピックの時はジカ熱が話題になりましたが、中南米、アメリカ南部、東南アジアでは未だ流行しているようです。東南アジアを旅行する際には、鳥インフルエンザやデング熱の発生状況、SARDS(サーズ)やMARDS(マーズ)など危険な感染症が流行していないかなどをチェックしましょう。アフリカ方面の旅行を計画されている場合には、致死率が高いエボラ出血熱、ラッサ熱、コレラの発生状況や感染地域の情報を確認しておきましょう。
海外から日本国内にこれらの感染症が持ち込まれて大流行すると、社会全体を大混乱に巻き込むことになってしまいます。渡航先別の注意すべき感染症や、予防接種が必要かについては、旅行社や厚生労働省検疫局のホームページなどで確認できます。特に海外勤務や留学で現地に長期滞在する場合には、予防接種が義務づけられているものも数多くありますので、情報を確認し、時間に余裕をもって準備されることをお勧めします。
海外では、衛生状態がよくないことが多いので、水や食事だけでなく、蚊や野生動物からの感染にも注意が必要です。ジカ熱やマラリアのような蚊による感染症を防ぐには、虫除けの薬だけでなく、肌を出さない工夫も大切です。また海外でブームのタトゥー(入れ墨)やボディーピアスも、AIDSやウイルス性肝炎発症の原因となりますので、極力避けるようにしましょう。
海外での感染を防ぐには、手洗いと飲食への注意、虫除け対策、動物に近寄らないこと、機内や人混みに入るときはマスクをするなどを徹底しましょう。予防接種も普通の医療機関では実施していないことが多いので、検疫所や保健所へ問い合わせをするか、トラベルクリニック、旅行外来や渡航外来を設置している医療機関などに確認されてから受診されることをお勧めします。では、感染症への準備を十分に整えて、海外旅行をお楽しみ下さい。