2018年2月
【月曜】おねしょ(夜尿症)と子どもの自立
おねしょが小学校入学以後も続く場合を、治療が必要な状態ということで「夜尿症」と呼んでいます。この場合に、何かの病気が必ずあるというわけではありません。ごくまれに、原因になる基礎の病気が認められることもありますので、昼間のお漏らしがあったり、毎日続く場合は医療機関を受診されるほうがよいでしょう。
夜尿症の場合、医療機関で行う一般的な治療として、次の3つがあります。
1つ目は、水分や塩分の摂取量、摂取時間帯の指導、排尿訓練、規則正しい生活リズムの確立、冷え対策など、食事や生活の指導です。
2つ目は、夜間の尿量を少なくする飲み薬(抗利尿ホルモン、抗コリン剤、3環形抗不安薬など) を使う薬物療法です。
3つ目は、「おしっこアラーム」に代表される行動療法があります。「おしっこアラーム」は、パンツに水分を感知するセンサーを取り付け、アラームによって寝ている間のおしっこに気づかせる方法です。また、催眠による暗示も有効な場合があります。
夜尿症に対して従来は「あせらず、怒らず、起こさず」の方針と言われてきました。ただし、はっきりした根拠があるわけではなく、ご両親に対する配慮の言葉がけかもしれません。受診の時にご両親から、「本人が学校行事などで不安がっている」と言われますが、多くの場合、本人の精神的負担というよりは、親御さんの方が、「学校行事で子どもが恥をかかないか、いじめられないか」などの不安を感じて相談に来られていることが多いようです。つまり、他の子どもとの比較、他人の目や世間体などを気にしているなど、親御さん自身の価値観や、本当の気持ちに気づいていないことも多いように思います。もっと言えば、オムツをしたのは本人の希望ではなく親御さんの希望なのです。
おむつが取れるということは、ある意味で本人の自立、すなわち巣離れ、親離れの一つの意味もあります。あまり親が心配し過ぎることは、本人の自立を阻むことになるかもしれません。子どもにとって、自分の困りごとは、自分で考えて何とかする、そしてできたという経験が将来、きっと本人の大きな自信にもなりますと、小児科専門医としてお話をしています。