2018年3月
【金土日】手足にぶつぶつが出来たら―掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)―
手足にぶつぶつが出来る皮膚病には、湿疹や水虫がありますが、本日は掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)についてお話します。
掌蹠膿疱症は、膿がたまった膿疱と呼ばれる発疹が手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多く見られる病気で、良くなったり、悪くなったりという経過を繰り返します。発疹は小さな水ぶくれがまず現れ、次第に膿疱になっていきます。その後はかさぶたになって、剥がれ落ちていき、これらの発疹が混じりあった状態になります。また、鎖骨や胸の中央、その他の関節が痛くなることがあります。
この病気の発疹である膿疱には、細菌は含まれていません。したがって他の部位にも、他人にも移ることはありません。
原因として、扁桃炎や歯槽膿漏などの細菌による、慢性の炎症の病気が関係している場合があります。また、歯の治療のときに、歯にかぶせるパラジウムなどの金属が引き金になることもあります。
原因を確かめるには、細菌感染があるかどうか調べるための血液検査や、金属が関係しているかどうかを調べるために、パッチテストという検査が必要です。また、水虫との鑑別が必要なときもあり、これには顕微鏡による検査が必要です。いずれも皮膚科専門医で、検査を受けてください。
治療は、もし扁桃炎などの細菌の感染があれば、抗生物質の飲み薬、歯の金属によるアレルギーがあれば、歯医者さんに相談をして、他の金属での治療をしてもらう必要があります。しかし、これでも治らない場合や新しい発疹が出てくる場合は、強めのステロイド軟膏やビタミンD3の軟膏を塗って治療します。紫外線やビタミンAの誘導体の飲み薬を使うこともあります。ただ、歯科金属の治療や、抗生物質の飲み薬でかなり良くなる人もいます。根気良く治療することが必要です。
またこの病気の患者さんの内、80%は喫煙者です。禁煙をしても、掌蹠膿疱症が治ることはありませんが、この病気と関係がないとも言えませんので、この際に禁煙の努力をしてみては、いかがでしょうか。