2018年4月
【水曜】高齢者のまぶたの下がり
今日はまぶたに関する病気について3点お話します。
まず一つ目に、注意が必要な症状は、急に起こるまぶたの下がりです。
これは、動眼神経麻痺、交感神経障害などを原因として起こる場合があり、脳動脈瘤や肺癌など、命に係わる重篤な病気が隠されていることもあります。まぶたに痛みも腫れも無いのに、数日前から、あるいは数時間前から急にまぶたが下りてきたという場合は、かかりつけの眼科または救急病院を受診してください。
二つ目に、まぶたが腫れていて目が開けにくくなるという、よく見られる症状についてお話しします。だいたいは炎症が原因で、まぶたにリンパ液がたまっておこります。「メバチコ」や「ものもらい」と呼ばれている麦粒腫や霰粒腫によって起こり、その場合は痛みを伴ってきます。ヘルペスが原因のこともあります。痛みなく腫れる原因で多いのは粉瘤です。ときどき、腫瘍が原因の場合もあります。痛みがあるときは、濡れタオルなどで眼を冷やして、安静にしてください。炎症がある時には、運動、飲酒、長時間の入浴などはやめましょう。薬で治ることが多いですが、手術が必要なこともあります。
三つ目に、加齢性眼瞼下垂という病気についてお話します。
誰でも、年をとればまぶたの下がりが多少はあるものです。これには主に二つの原因があります。一つ目は、まぶたやおでこの皮膚がたるんできて起こる「眼瞼皮膚弛緩」、二つ目は瞼を挙げる筋肉が緩んだり、はずれたりして起こる「眼瞼下垂(狭義)」です。この二つは単独で起こることもありますが、高齢者では両方起こります。
「眼瞼皮膚弛緩」は一重瞼の人に特に起こりやすく、目尻の皮膚が垂れやすいために、「三角目」と呼ばれるアジア人特有の目の形になります。二重瞼の人は、二重のラインの上に皮膚が溜まっていることが多く、あまり目立ちません。
「眼瞼下垂(狭義)」は、ハードコンタクトレンズを長く使ってきた人に多く見られます。二重のラインが、若い時よりかなり上の方に挙がってしまうことで気づきます。
どちらの場合も、すべて手術が必要になるわけではありません。瞼のへりが、瞳孔にかかるようになると視野が狭くなってくるので、手術が必要になります。
眼瞼下垂を人から指摘されたり、見え方が自身でも気になるようであれば、眼科医に受診してください。