2018年7月
【水曜】女性に多い膠原病
全身のいろいろな臓器を同時に障害する病気には「膠原病」と呼ばれるいくつかの病気があります。膠原病では、皮膚の弾力性を保ち、血管壁を構成する「膠原線維」というものが弱くなり、崩れている現象が共通して見られます。
その膠原病のひとつに全身性エリテマトーデスという病気があります。わが国全体で推定6~10万人の患者さんがいると言われています。顔に特徴的な発疹が出現すると共に腎臓などが侵され、今から50年くらい前までは、適切な治療が行われない場合はほぼ100%死亡してしまうという恐ろしい病気でした。現在はこの病気の診断法と治療法が確立していますので、発症後すぐに医療機関を受診すれば、適切な治療により元気に普通の生活を続けることができます。
この病気は腎臓以外にも、脳、目、肺、心臓などの、全身の臓器が障害される可能性があり、個々のケースでは今も手ごわい難病です。男性より女性の方が9倍多くかかると言われており、圧倒的に女性、それも20歳から40歳の女性によく起こります。
関節リウマチも4倍の比率で女性に多い病気です。関節リウマチの患者数は70万から100万人と推定されています。この病気は、全身の関節が侵されますが、適切な治療が行われない時には全身の関節が次々に破壊され高度の障害に陥ることもあり得る病気です。
シェグレン症候群は男性と比べて女性が14倍、全身性強皮症は9倍、多発性筋炎および皮膚筋炎は3倍です。このように、ほとんどの膠原病は女性に偏って発症しています。その理由としては女性ホルモンの影響という説が有力です。
次のような場合には膠原病の初期症状の可能性があります。顔や体の皮膚には一つ一つの膠原病に特有の症状が出ます。朝起きたときに手の指が強くこわばる。指がソーセージのように腫れた。手の甲の皮膚が硬くなってきた、爪のつけ根の皮膚に出血がある、日光をまぶしく感じる、唾液が出にくい、膝や肩などの関節が痛む、足の裏が痛い、などの場合です。
まずはかかりつけの医師に受診してください。そして膠原病が疑わしければリウマチ科の専門医による精密検査を受けるようにしましょう。