2018年9月
【火曜】介護報酬改定で何が変わったか
今年4月から介護報酬が改定されました。介護報酬とは、介護保険によるサービス内容とそれに対する対価を定めているもので、3年おきに改定が行われています。今年は医療についての診療報酬と同時改定となりました。
政府はこれまで、医療が必要な患者さんを介護保険へ移行させて、社会保障の費用の削減を図る政策を進めてきましたが、今年の改定もその流れに沿った内容となっています。
介護保険制度がはじまってから、介護保険の費用を抑える目的で、利用できる介護保険サービスの上限の基準となる介護度について、2006年にはもともと要介護1とされていた利用者を要支援2に変えられました。これにより利用者1人当たりの利用額の引き下げがおこなわれました。
また、これまで介護保険サービスとして提供されてきた介護予防訪問介護の一部を介護保険サービスから外して自治体が実施する新総合事業とよばれるものに変更されています。
今年の改定でも、医師・歯科医師による居宅療養管理指導という、医師・歯科医師がケアマネージャーに診療情報を提供して介護サービスとの連携をはかるサービスについて、同じ建物で同じ日に複数の利用者があった場合には、報酬を減額することとされました。しかし、これはそもそも連携そのものを評価した内容であり、人数で報酬を減額される理由はありません。
また、生活援助を内容とする訪問介護について、回数を一定の範囲に抑えようとする仕組みが導入されます。しかし、利用者の状況を踏まえて内容を決めるのが本来のあり方で、回数の制限による規制をすべきではありません。
そのほかにも、今年の8月から年金収入等340万円以上の方の利用者負担が3割へ引き上げられました。
このように、介護保険制度は改定のたびにサービスの縮小と利用者負担の拡大が繰り返されており、利用者に必要な介護が提供されないと同時に、サービス提供者である介護事業所も疲弊しています。保険医協会では、介護報酬の引き上げで介護サービスの充実を図ると同時に、利用者負担と介護保険料の引き下げを行うよう強く求めています。