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2018年10月

【木曜】非結核性抗酸菌症

 NTM菌という病原菌が最近、注目を浴びるようになっています。そもそもNTM菌はどんな細菌なのでしょうか?NTM菌はどこにいるのでしょうか?NTM菌は水や土などすぐ身近なところにいて「環境常在菌」といわれています。具体的には水であれば風呂場、シャワーヘッド、ジェットバス等があり、土であれば農作業や園芸に接する機会の多い人が感染を起こしやすいといわれています。しかし、水や土との接触を避けても、必ずしも病気の発病、進行を防ぐことができるわけではありません。
 厚生労働省と慶應義塾大学との合同研究により2007年から2014年の7年間で約2.7倍に患者さんが増えたことが明らかになりました。
 抗酸菌の中で結核菌(結核症)、らい菌(ハンセン病)以外の菌をNTM菌と呼びます。NTM症の症状として、喀痰が最も多く、空咳、血痰、喀血および体重減少が挙げられますが、約30%の人は無症状です。
 NTM症にかかりやすいのは、中高年で痩せ型の女性、肺の一部が破壊している方、ステロイドやリウマチなどの薬が原因で免疫力が低下している方などが挙げられます。
 NTM症では、胸部レントゲン撮影をすると、空洞形成型や気管支拡張型、または両者が組み合わさっているなどさまざまな画像の特徴があります。
 NTM症の経過として、3つの型があり、A型は無治療でも悪化しない、B型は治療によって進行が止まる、C型は治療をしても徐々に悪化するというものに分かれます。慢性の病気であるため、完全に治すことは困難です。
 NTM症について普段の生活の中で気をつける点としては、自分の病気をよく理解すること、規則正しい生活、バランスの取れた食事を心がけ、ストレス、疲労をためないことが重要です。
 日本の結核の現状はどうでしょうか。結核にかかる率は年々減少する傾向にありますが、欧米諸外国に比べるとまだまだ依然として高い状況が続いています。結核は世界の3題感染症(結核、マラリア、エイズ)の1つであり今でも直、毎年800~900万人の人々が結核で生命を落としています。
 まとめとして、NTM症とは、NTM菌という細菌により、肺に病気を発症している状態のことです。原因はMAC菌によるものが全体の約90%を占めており、近年では40~60歳の女性の方に増えてきています。ただし結核と異なり、人から人への感染はありません。NTM症の治療は、完治を望むのではなく、根気強く治療を続けることが重要です。
 
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