2018年10月
【火曜】健康寿命と口腔ケア
最近2025年問題が取りざたされています。兵庫県では高齢者の数は2025年以降も増え続けます。
2050年には2010年の2倍前後になると試算されています。高齢になっても介護を受けないことが大切です。
要介護の原因の1位は脳卒中です。そして2位が認知症、3位が高齢による衰弱、4位が骨折・転倒となります。どれも高齢になると、あり得るように思います。でも口に関する予防方法があります。
まず1位の脳卒中についてお話します。歯周病になると脳梗塞になるリスクが約3倍になります。
日本人35歳以上の8割が歯周病といわれるほどありふれた病気です。歯周病をうまく管理することが大切です。口の中の歯周病菌の数を減らすことが重要です。
次に認知症についてお話します。残っている歯が多いほど認知症になりにくいことが分かっています。よくかむと脳の血流量が増すからです。口を使うだけで脳の広い範囲が刺激されるのも理由の一つです。かみ合わせに異常があると、認知症の原因とされるアミロイドβタンパクが増加するというネズミの研究もあります。よく咬めることが認知症予防になるということです。高齢者を調査したところ、歯がほとんどなく、入れ歯を入れていない人は、20本以上歯がある人と比べて約214 倍も認知症になりやすいという結果でした。ただ、入れ歯を入れて抜けたところを補って、しっか
り咬めるようにすれば、認知症のリスクも下がります。
次に高齢による衰弱と骨折・転倒についてお話します。同じものを食べても、しっかりもぐもぐした方が、丸呑みするよりも、栄養の吸収率が高いことが分かっています。つまりよく噛んだ方が身によくつくということです。また奥歯でしっかり咬めないと転倒しやすいようです。
これまでの内容は健康寿命を伸ばす方法でした。でも、現在介護を受けられている方のサポートも重要です。口の機能アップによって認知機能低下の予防、栄養状態の改善、バランスや筋力の向上はありえます。今後寝たきりの人への口の機能のサポートが重要になります。
最後にもう一つ。病院や施設でのアンケートによれば高齢者の楽しみの第1位は食べることです。
歯科医師と上手に付き合っていただき、食べる楽しみを維持してください。