2018年12月
【火曜】唾液と病気
唾液は多く出る人もいるし少ない人もいます。顔や身長が人それぞれであるのと同じで、皆さん同じではありません。唾液には、でんぷんをブドウ糖や乳糖に分解する酵素であるアミラーゼが含まれています。ほかに、リゾチームやムチンやラクトフェリンなどを含んでいて口の中の免疫にかかわっています。つまりなるべく歯槽膿漏にならないように守っているわけです。
また唾液には口の中の粘膜の保護や酸アルカリの酸の中和能力も水の5000倍あるといわれていて、歯を虫歯から守る役目もあります。さらにカルシウムも含んでいて、虫歯になりかけた歯を再生します。虫歯の自然治癒ですね。しかしこれは弱い能力ですのであまり期待しないほうが良いと思います。
あるいは唾液が少ないと、口の中の粘膜のあちこちががこすれたり剥がれたりで痛くなったりします。また口の中が敏感になって怪我をしやすくなります。唾液はご飯や食べ物を飲み込みやすくもします。唾液が少ないと飲み込みにくいですよね。
高齢者は、取り外しの入れ歯の人が多いですが、実はこの入れ歯の安定に唾液の分泌量も強く、関係します。さてこんな大事な唾液ですが、突然出にくくなって食べ物がおいしくなくなる病気があります。ドライマウスと呼ばれ一般に治りにくいとされています。急性のものと慢性のものがあって、慢性のものは唾液が年齢とともに徐々に少なくなっていくのですがそういう人たちも何とか唾液分泌の減少に付き合っていけるようです。
問題は急性のドライマウスです。しかしこれは交感神経が過剰に働いているために起こっていることが多く交感神経を鎮める方法がわかれば治ることもあります。また唾液分泌を促すための内服薬もあります。ただしこれは、歯科診療所では処方することができませんので大きな病院等に行って頂くことになります。なおこの薬は個人差があって効果がある場合とない場合もあります。
他に、この急性のドライマウスはかみ合わせ治療で治ることもありますので、お近くのかみ合わせ専門の歯医者さんに相談してみるのもよいと思われます。膠原病の一つであるシェーグレン症候群の可能性もありますので念頭においてください。