2019年6月
【木曜】COPDについて
COPD(肺気腫、慢性気管支炎)COPDとは、Chronic(慢性)Obstructive(閉塞性)Pulmonary(肺)Disease(疾患)の英語の頭文字をとった略称です。
タバコの煙や大気の汚染物質の長年にわたる吸入により気道や肺が炎症を起こし、慢性的な咳や痰、体を動かす時の呼吸困難が生じる病気です。日本では9割以上がタバコの煙の吸入によるもので、そのほとんどが喫煙者(あるいは過去に喫煙していた方)に起こりますが、受動喫煙でも起こります。わが国では700万人以上の患者さんがいると推定されていますが、診断され治療を受けている人はわずか26万人といわれています。それ以外の方は、年だからとかタバコを吸っているからとやり過ごしていることになります。
タバコの煙の吸入による肺の炎症の結果、気管支が狭くなり、息を素早く吐き出せなくなる気道閉塞をおこし、これが息切れの原因となります。この炎症は肺にとどまらず、全身に広がっていくことが知られています。つまり体重減少や筋力低下をおこしたり、心筋梗塞、脳卒中、骨粗しょう症、糖尿病、うつ病などにかかりやすくなるといわれています。したがって早い段階で診断をし、禁煙はもちろんのこと、吸入薬などの治療を早期に開始することが予後を改善することにつながります。
スパイロという呼吸機能をはかる検査やCTなどで診断します。酸欠状態の程度を見るために、パルスオキシメーターや血液ガスといったの検査を行います。階段や坂道で息切れを感じる場合は、早めの受診をお勧めします。
次に治療について説明します。
喫煙中の方はまず禁煙することが先決です。禁煙外来で禁煙補助薬を使えば、比較的スムーズに禁煙ができます。
薬物療法の主な目的は気管支を広げて、呼吸機能の低下を遅らせることです。このために用いられる薬は吸入薬や飲み薬、貼り薬などがあります。吸入薬にはいくつかの種類がありますが、病気の重症度や合併症などにより(閉塞隅角緑内障、前立腺肥大症など)により処方してもらいます。
自宅でも酸素吸入が必要となる患者さんには在宅酸素療法が行われます。
COPDの患者さんは動くと息切れがするために、あまり動きたがらずに非活動性になりがちです。そうすると筋肉が萎縮し、呼吸困難が増していく悪循環となります。可能な限り機能を回復あるいは維持させて患者さん自身が自立できるようになるために、呼吸リハビリテーションは薬物療法に加えて行うことで効果があります。
また中等症から重症のCOPD患者さんでは体重減少が認められており、栄養管理は大事な治療の一つです。