2019年9月
【水曜】その症状 甲状腺機能の低下が原因?
最近、疲れやすくなってきた。朝起きるのもつらくなり、手足がむくみやすく、物覚えも悪くなってきた。これらの症状の中には、甲状腺の病気が原因となっていることがあります。
甲状腺は、喉ぼとけの下にある内分泌腺で、甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺ホルモンは、からだにとって不可欠なもので、内臓や消化器官の働きを助けたり、からだの活動を維持するさまざまなエネルギー代謝の調節に関与しています。もし、甲状腺ホルモンが低下してくると、内臓の働きや代謝機能も低下し、いろいろな症状が全身に起こってきます。疲労感や手足のむくみ、記憶力の低下。体重の増加や、コレステロール値が高くなることもあります。ホルモンがさらに低下してくると、息切れや呼吸がしづらいといった症状も強くなり、心不全になることもあります。
甲状腺ホルモンが低下するおもな病気として、「橋本病」があります。別名「慢性甲状腺炎」とも言われ、甲状腺の病気の中では最も多い病気です。血液検査によって診断することが出来ますが、一般的な健康診断の項目には、甲状腺ホルモンは含まれておらず、なかなか見つかりにくい病気とも言えます。甲状腺ホルモンの低下が疑われる場合には、かかりつけの内科や、甲状腺もしくは内分泌科の専門医への受診がおすすめです。
甲状腺の病気では、甲状腺が大きくなり、くびが腫れて見えることがよくありますが、甲状腺が大きくならない場合もありますので注意が必要です。
甲状腺ホルモンが異常な病気では、そのほとんどが飲み薬によって治療が可能です。甲状腺ホルモンが低下している場合には、服薬によって、不足した甲状腺ホルモンを補います。薬の副作用はほとんどなく、子どもや妊娠中の方でも安心して服用することが出来ます。
甲状腺の病気を持っている方は、食生活上の注意が必要です。海藻類、特に昆布類には、ヨードが多量に含まれており、甲状腺機能に影響することがあります。橋本病や、甲状腺機能が低下している方は、昆布類を食べ過ぎないよう注意が必要です。
甲状腺の病気は女性に多く、妊娠にも影響することがあります。最近では甲状腺機能のわずかな低下でも、不妊や流産の原因になることもあり、不妊や流産を繰り返す時には、一度、甲状腺ホルモンを調べてみることをおすすめします。