2019年10月
【火曜】保険でよりよい歯科医療を
私たち兵庫県保険医協会は、「保険でより良い歯科医療を」の運動に取り組んでいます。現在、介護に依存せず自立した生活ができる「健康寿命」に、国民の関心が集まる時代に変化しています。
以前は歯の病気で死なないことが常識とされる時代でしたが、この健康寿命を重視すべき今の時代に於いては、まさに「高齢者は歯が命」といえます。
最近の研究で「誤嚥性肺炎」や「術後感染症」など全身の病気と歯科の病気が関連することが複数のデータで明確に示され、今日では健康と歯科の関わりが注目されています。
その一つに歯を失うことや入れ歯を使用しないことと認知症との関連を指摘する研究報告もあり、歯は健康に大きな影響を与えることが明らかになっています。
今日、日本の歯科医療の水準は世界の先進諸国と同等かそれ以上に高いレベルへと発展し、国民のお口の中の健康を改善させてきました。
戦後まもなくから数十年続いた子どもの虫歯対策では、1980年代以降の歯科地域保健事業の充実により虫歯を減少させるという世界でもまれな成果をあげています。
これらの成果は決して十分な医療制度のもとで到達したのではありません。低い歯科の診療報酬などハンデがある医療政策のもとで献身的に努力を重ねてきた多くの歯科医療関係者の犠牲のもとで達成されました。
そのため歯科関係者にとっても今日までのように低い歯科診療報酬の中で現場の努力や頑張りだけで世界的水準を守ることは大変困難な状況となっています。
お口の中を健康に保つためにもお金の心配をせず歯科医療が受けられるよう窓口負担を引き下げることや保険のきく歯科医療を増やすことなど現在の不十分な歯科医療制度の改善を目指す、「保険でより良い歯科医療を」の運動がますます重要です。
また、社会保障として「保険証一枚で受診できる」医療制度を維持すること、そして歯科医療関係者が専門性を発揮し安心安全な歯科保健医療を提供できるよう引き続き、みなさんとご一緒に「保険でより良い歯科医療を」の運動に取り組んでいきましょう。