2020年2月
【金曜】診療報酬と患者さんの負担
皆さんは、年末年始に新聞などで「診療報酬」という言葉を見かけたことはありませんか?
この「診療報酬」は、皆さんが受ける医療に影響する重要なものです。
「診療報酬」とは、皆さんが病院や診療所で受ける医療に関して、健康保険の利く範囲とその価格を国が定めたもので、医療サービスのメニューのようなものです。
この4月に改訂されますがマイナス0.46%とすでに決まっています。
診療報酬が下がれば、患者さんが窓口で支払う金額が少し減りますし、「診療報酬って、お医者さんの給与でしょ?」などと誤解されているため、「引き上げる必要はないのでは?」と思われる方もいるでしょう。
では、皆さんは、「診療報酬」が何に使われるかご存知でしょうか。
実は、医療機関の収入である「診療報酬」の半分は人件費で、約30万人の医師だけでなく、150万人の看護師さんを含めて、約300万人の従業員の給与の「もと」となります。
残り半分は、使った薬や医療材料の支払い分、光熱費や賃借料などで、最新の医療機器の購入や、病院の改装や建て替えなどにも使われます。
今でもマスコミは、診療報酬を「『医師』の給与」や「『医師』の人件費」などと報道しますが、医師の給与は全体の13%程度にすぎません。
これまでの診療報酬の相次ぐ引き下げにより、約3割の診療所、2割の歯科診療所が赤字になっています。診療所の経営が苦しくなり、もし閉鎖されてしまえば、患者さんは困ってしまいますね。
一方、日本では窓口負担が年齢や所得に応じて1割、2割、3割などと定率になっているため、病気がちの患者さんは、自分の懐具合を心配しながらの受診となります。受診が遅れ重症になった人も少なくありません。
そのため、フランスやドイツ、イギリス、イタリアなどでは窓口負担は実質無料です。
安全・安心、そして最新の医療を皆さんが受けるためには、診療報酬、つまり医療費の増額と患者さんの窓口負担の軽減が必要と考えます。
今、私たちは「みんなでストップ!負担増署名」という署名を行っていますので、お近くの医療機関にお問い合わせください。
ぜひ皆さんの声を届けましょう。