2020年2月
【水曜】痛風と生活習慣
痛風とは体の中に増えすぎた尿酸が、関節の中で悪さをすることによっておこる病気です。典型的にはある日突然、主に足の親指のつけねなどの関節が赤く腫れあがって激しい痛みがでます。歩くのが困難になることもあります。発作的な症状なので痛風発作と呼びますが、大概10日前後で自然によくなり痛みも全くなくなります。ただそのまま放置していると多くの場合1年以内にまた同じような発作が起こります。これを繰り返すと関節の痛みだけではなく、腎臓が悪くなったり、尿路結石ができたりしますので治療が必要です。
治療の第一歩は生活習慣の改善です。水分をよく摂り、尿量を毎日2L以上に増やしましょう。痛風になる人は肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病をあわせもっていることが多く、これらは動脈硬化症の原因となりますので、まず生活習慣の改善が大切です。ビール、レバー、エビ、アジやイワシの干物など尿酸のもととなるプリン体を多く含む食べ物やアルコールを控え、ストレスを上手に解消し、適度な運動を行いましょう。ただし激しい運動は一時的に尿酸値をあげ、痛風発作を引き起こしますので注意が必要です。生活習慣の改善を行っても、尿酸が下がらない場合には尿酸をさげるために飲み薬による治療を行います。尿酸が急に下がるときにも痛風発作になることがありますので、飲み薬は少ない量から徐々に増やしていき、3~6か月かけてその人にとって適切な飲み薬の量を決めていきます。その後も定期的に血液検査で飲み薬があっているかチェックが必要です。
最後に痛風発作は10日前後で自然によくなると言いましたが、痛み止めのくすりやブロック注射で早く痛みをとることができます。最近は超音波エコーで患部をみながら、腫れている関節に確実に注射することも行われるようになってきました。また痛風とよく似た症状で、蜂窩織炎といって細菌の感染で赤く腫れあがって痛みがでる病気もありますので、赤く腫れあがった状態になれば、まずはしっかりと氷などで冷やして、なるべく早く医療機関を受診して診断と治療をうけるようにしましょう。