2020年2月
【月曜】知っているようで知らない血圧の話
高血圧が脳卒中や心臓病の原因で、治療することでこれらの病気を未然に防ぐことはほとんどの人が知っていると思います。実際に自動血圧計を買って、毎日家で測っている方も多いでしょう。では血圧には大きな数値、すなわち収縮期血圧と、小さい数値、すなわち拡張期血圧の二つがあるのはどうしてでしょうか?この値の差、脈圧がなくなると血液が流れないのでしょうか?また測るたびに血圧が変動することに驚くこともたびたびありますが、どの数値を信じたらいいのか不安になりませんか?
血圧は、生きていくために必要な酸素や栄養素を含んだ血液を循環させるために必要な圧力です。大きい数値の血圧は心臓の送り出す圧力、小さい数値の血圧は大動脈の送り出す圧力を表しています。さらに血圧は、血液が流れる体の大きさに影響を受けます。体が大きく、血管が長いとその分大きな圧力が必要となります。体の大きなキリンは200以上が正常の血圧です。逆に体の小さなねずみは60ぐらいです。
普段の生活の中でも血圧は著しく変動します。10分以上安静にして、椅子座位で測定する血圧値が治療の目安となる値です。朝目覚めると活動するために血圧は上昇し、この値が一日の中で最高となります。でも私は、運動したり、荷物を運んだりしたら、もっと上がります、と言うことを良く聞きますが、これはあたりまえのことです。あなたが2リットルのペットボトル2本買って歩いていたら、そのときの血圧は180台を超えているでしょう。このように、体に力が入ったたり、興奮したりしているときには血圧は自然と上がります。しかし、これらの血圧値は高血圧症という病気の基準には入りません。あくまで、安静時の椅子座位の血圧値のみが、病気としての高血圧の基準です。
高血圧の最大の原因は体質です。親が高血圧だと、将来高血圧となる可能性は高いです。この体質の人が、塩分を多く摂ったり、メタボ肥満になったりすると高血圧になります。高血圧は脳心臓血管病の最大の危険因子です。しかし血圧を下げる薬を飲むなどして、安静時の血圧値を130/80前後にすることで、この危険を半減することができます。もちろん、減塩、減量、禁煙、ストレス回避をすることは血圧管理の原則です。
パニックに陥りやすいヒトは、血圧も変動しやすく、不安感が血圧を上昇し、偽性高血圧となることがあります。家庭血圧を測定する場合も、主治医とよく相談することをお勧めします。