2020年3月
【木曜】高齢男性の排尿障害―前立腺肥大症―
高齢男性の排尿障害として、1つ目は、尿が近い、がまんができない、尿がもれるなどの「蓄尿症状」、2つ目は、尿が出るまでに時間がかかる、尿の勢いが弱い、尿が全く出ないなどの「排尿症状」、3つ目は、残尿感、排尿後に尿がもれるなどの「排尿後症状」に分けられます。
今回は、これらの排尿障害の原因として最もよく知られている、前立腺肥大症についてお話します。
前立腺は、精液の一部を作る男性特有の臓器で、膀胱の出口にあり、尿道をとりまくように存在します。通常はくるみくらいの大きさですが、年齢とともに徐々に大きくなって、次第に尿道、膀胱を圧迫し、排尿障害が起こってきます。前立腺肥大症は、初期には、尿が近くなり、特に夜間に何回もトイレに起きるようになります。次にだんだんと尿が出にくくなり、ひどくなると尿がまったく出なくなることもあります。
前立腺肥大症の治療法は、尿が出やすくなる薬を飲むのが一般的です。最近は前立腺を小さくしたり、尿の回数を減らす薬もたくさん出てきており、自分に合った薬を処方してもらうのがいいでしょう。
しかし前立腺肥大症が進行し、薬だけでは効果が得られなければ手術します。尿道から内視鏡を入れて前立腺を切り取りますが、最近ではレーザーによる手術も普及し、かなり大きな前立腺でも比較的安全に手術が可能になってきています。
尿の調子がおかしいと感じたら、前立腺肥大症かもしれません。診断は簡単な検査でできますので、かかりつけの医師または泌尿器科を受診してください。
前立腺肥大症と良く似た症状をもつ「前立腺がん」も最近増加してきています。前立腺がんの検査には、PSAと呼ばれる血液検査があります。早期発見できれば治る病気ですから、50歳以上の方は特に自覚症状がなくても、定期的にPSA検査を受けることをおすすめします。