兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2020年4月

【金土日】アルコールによる依存症

お酒はわが国の食文化に深く根ざし、人々の交流の潤滑油としての役割があります。反面、アルコールは人体に有害な物質になることもあります。

 仮に、毎日5合のお酒を50年間飲んだとしたら、脳細胞に重大な損傷をもたらすといわれています。日本人の7割はアルコールを分解する酵素の働きが強くないため、もっと少ない飲酒量と短い飲酒期間であっても、脳細胞が傷つく恐れがあるのです。

 お酒を飲むことで心の緊張は和らぎますが、人は心地よいと感ずることが習慣になってしまいます。飲まないと心が落ち着かず、毎日飲酒することを「精神依存」、飲まないと眠りが浅くなったり、汗をかいたりすることを「身体依存」と言います。進行すると、お酒が切れたときに手が震える、幻覚が出現するなどの「離脱症状」、いわゆる禁断症状を起こすことがあります。

 また、習慣性の飲酒は倦怠感、集中力や感情のコントロールの低下などを招き、仕事でのミスや能率低下を引き起こします。これらによるストレスを和らげるためにお酒を飲むという習慣が続くと、アルコールで抑制されている状態が普通の状態になってしまいます。

 そうなると、飲酒していない時には脳を興奮させるグルタミン酸の量が増えるため、「お酒が飲みたい」という欲求が高まります。飲酒をすればグルタミン酸の量が減少していくため、脳は興奮状態から解放されて、精神的に落ち着きますが、アルコールが抜けていくとまた落ち着かない状態になってしまうといった、悪循環になってしまいます。

アルコール依存症の治療に用いる薬は、アルコールへの欲求による神経の興奮を抑える働きをして、飲酒をしなくてもグルタミン酸の量を減らすことができ、飲酒の欲求が制限できるようになるのです。

「私には飲酒のトラブルはない」「今度こそうまく飲める」「酒をやめてもいいことはない」「どうせ酒なんか止められない」等、間違った考えやこだわりで心身の健康状態を悪化させる前に、ぜひかかりつけの医師に相談のうえ、専門の医療機関を受診するようにしましょう。

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