2020年5月
【金曜】ホクロと黒色腫
ホクロは、カラダのどの皮膚にでも発生します。生まれたばかりの赤ちゃんの肌にはほとんど見られませんが、大きくなるにつれ、皮膚に黒っぽい褐色の斑点が徐々に増えてきます。
これは、主として「母斑(ぼはん)細胞」という細胞が異常に増殖することによって、黒っぽい褐色の斑点が皮膚に生じて起こります。皮膚の浅い部位にできる母斑細胞は、メラニンという色素を作るので黒く見えます。皮膚の深いところにできると、盛り上がるタイプのホクロになります。
これらのホクロの中から怪我や打ち身、紫外線、放射線と言った刺激によって「悪性黒色腫」というホクロのがんが発生する場合があります。悪性になる兆候は急に大きくなったり、盛り上がったり、だんだん黒くなって周囲へ茶色の染み出しがでてきたり、赤黒くなって出血したり、境界がはっきりしなくなったりすることです。
手のひらと足の裏に直径6ミリ以上の大きさのホクロがあれば要注意です。悪性黒色腫の中でも特に、手足にできる色素斑が悪性化したものは日本人に多く見られ、悪性黒色腫の約半分をしめています。悪性黒色腫がなぜ怖いかという理由は、リンパ管や血管を通して肺や脳へ転移しやすいからです。
ホクロのがんは早期発見、早期治療が必要です。治療は原則的には外科手術で切除しますが、抗がん剤による化学療法や免疫学的治療なども組み合わせて行います。
これらの症状に気づいたら、まずかかりつけの皮膚科医にご相談ください。