2020年6月
【水曜】変形性膝関節症
膝の痛みをもたらす疾患には様々なものがありますが、高齢者に最も多く認められるものは、「変形性膝関節症」です。この病気は年齢とともに増加し、男性に比べて女性の方が1.5~2倍多く見られます。女性では70代で6割、80代で8割の方が変形性膝関節症を患っていると言われています。
歳をとるにつれて、体重を支えるクッションの役割を果たしている膝の軟骨に老化現象が起き、この場合にいわゆる「すり減り」が生じます。この刺激によって関節の袋が炎症を起こして痛みが生じたり、過剰な関節液が溜まったりします。発症や悪化要因は、肥満とO脚があげられます。
初期から中期では、骨にトゲ状の変形が出たり、関節の間が狭くなったりします。そのため症状としては、立ち上がりや階段の昇り降りに痛みが出るようになります。
進行期では、すり減りが進んで軟骨がなくなり、太ももの骨とすねの骨が直接ぶつかるようになって、痛みが増し、変形が進みます。膝をまっすぐ伸ばすことができなくなったり、しゃがみこみや正座が制限されます。
治療法は、保存療法と手術療法があります。
保存療法については、軽度から中等度の場合は、装具をつけたり、薬を使ったりして痛みを和らげて、太ももの筋肉を鍛え、機能の改善を図ります。体重を減らすこと、また長時間の正座などを避けることも大切です。ヒアルロン酸という、軟骨を保護する薬剤を関節に注射することもあります。
変形が進んだ場合には、手術療法として、膝の下のすねの骨を切って角度を変えてO脚を矯正する手術や、すり減った関節の表面を取り除いて人工関節に置き換える手術が行われます。
膝が痛い方は、症状にあわせていろいろな治療法がありますので、歳だからと諦めずに、長引く痛みや日常生活に支障のある場合には、専門の整形外科に相談してください。