2020年9月
【金土日】口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)
口唇口蓋裂とは、妊娠の7〜9週に上くちびるや上あごがくっつかず、すきまが生じる疾患です。日本人の500人に1人の割合で出生すると言われています。原因ははっきりとは分かりません。顔に現れる疾患であることから重症にとられることがありますが、ありのままを受け入れ治療することが重要です。
口唇口蓋裂を持った赤ちゃんの出生からの治療方針を話します。上くちびるや上あごにすきまがあるため、乳首をうまく捉える事が出来ず哺乳が困難となります。母親もうまく授乳できない状態になり、保護者・赤ちゃんともにストレスを抱えることになります。この治療に赤ちゃんの上顎の型をとり、入れ歯と同じプラスティック性の装置を作ります。これを哺乳床、ホッツ床、口蓋床などと呼びます。これで鼻から漏れなくなり、ミルクを上手に飲めるようになります。上くちびるにすきまがある場合は、テープを貼ってすきまを塞ぎます。こうすることで、乳首をとらえやすくなります。哺乳や授乳がスムーズにできることは親子にとって喜びとなります。
上唇の手術は口唇形成と言い、概ね3ヶ月、体重5Kgくらいを目処に行います。赤ちゃんが成長するに従い、離乳食が始まります。哺乳は生物として与えられた機能ですが、食べる機能は学習で獲得していきます。親と赤ちゃんでゆっくりと離乳を進めていくことは言葉の発達にも良い影響があります。
次に、口蓋裂に対する治療である口蓋形成についてお話します。この手術は正しく話せることを目的としています。正しく話すためには、口蓋を手術し、話すときに鼻から息が漏れなくします。これを口蓋形成と言います。この手術は意味のある言葉を話し始める約1歳半、体重10Kgを目処に行います。
口唇口蓋裂治療の目的は、口から食べ、正しく話せるようにすることです。口唇口蓋裂を専門にしている形成外科や歯科の先生がおられます。ホームページなどで調べてみて下さい。話し方は、言語聴覚士や聞こえとことばの教室に連絡を取られるのも良いでしょう。