2021年1月
【木曜】 慢性腎臓病と透析
腎臓の役割は、老廃物の除去、水分量の調節、ナトリウム・カリウムなどの電解質の調整、血液やリンパ液の酸性・アルカリ性の調節に加え、血圧や貧血、骨の代謝にも関与するなど多彩な役割を果たしています。
再生医療研究も進み、腎臓の一部を再生することもできるようになってきていますが、臓器として実用化されるにはまだ時間がかかると考えられます。従って腎機能が10%以下となり、生命を脅かす状態になった場合は透析治療を開始することになります。2018年末で全国約34万人の方が透析治療を受けています。
一般的には週3回程度、1回に4時間前後の治療になります。時間の制約を受け、毎回血管に針を刺す痛みや、血圧の変動などの合併症もあり、つらい思いをされている方もいらっしゃいます。なるべく透析導入しなくても済むように考えなくてはいけません。
腎臓病は、例えばネフローゼ症候群のように多量の尿蛋白によってむくみがあらわれ、早めに気付くこともありますが、自覚症状があまりないまま、倦怠感、食欲不振、息切れなどの症状で受診した時には既に末期の腎不全状態で、すぐに透析を始めなければならない方もいらっしゃることを知っておいてください。
早期発見のために尿・血液検査を含む健康診断などで定期的に検査を受け、腎機能を把握しておく必要があります。特に自営業の方や主婦の方などは定期健診を受ける機会を逃しがちなので注意が必要です。
腎臓病の原因としては、慢性腎炎の方や遺伝性の病気の方もいらっしゃいますが、透析を開始する方の40%以上が糖尿病が原因となっています。糖尿病は高血圧や脂質異常症も伴うことが多く、いわゆる生活習慣病をしっかり診ていくことで早期に治療を開始し、病気の進行を防ぎ、透析治療にならないようにしていくことが重要となってきます。
喫煙も腎臓病の原因となったり進行にも関与しますので禁煙に努めましょう。
健康診断で生活習慣病や腎臓病が疑われた時には、軽度であればお近くのかかりつけ医に相談して下さい。尿蛋白や血尿が強く出ていたり、腎機能障害の検査値が出ている場合には腎臓専門医を紹介してもらってください。