2021年1月
【火曜】 医療と消費税
皆さんが病院やクリニックで受け取る領収書には、「診療報酬や薬価等には、医療機関等が仕入れ時に負担する消費税が反映されています」などと書かれていると思います。しかし、国税庁は「健康保険法、国民健康保険法などによる医療」は「非課税」だとしています。これはどういうことでしょうか。
普通の商品販売であれば、通常、お店は商品の代金に消費税を上乗せしてお客さんに販売することができます。そのため、お店は商品を仕入れる時に支払った消費税相当額を、その上乗せによりお客さんからもらって、消費税として国に納めることができます。
一方、みなさんが病院やクリニックで受ける医療サービスや薬の値段は国が決めています。そして、医療は「非課税」とされているため、病院やクリニックは国が決めた医療サービスや薬の値段に対し、窓口で消費税を上乗せすることができない仕組みになっています。そのため、病院やクリニックは、医薬品や医療機器などを仕入れる際に支払った消費税を患者さんからもらうことができず、支払った消費税は最終的に病院やクリニックの負担になってしまっています。昨年、消費税率を10%に引き上げたことにより医療機関の持ち出しはますます大きくなっています。
国はこの解決策として、医療サービスや薬の値段を少し高く設定して、病院やクリニックの負担となっている消費税の一部を医療費として補填するという政策をとっています(このため病院やクリニックで受け取る領収書に「診療報酬や薬価等には、医療機関等が仕入れ時に負担する消費税が反映されています」と書かれているわけです)。しかし、この方法では患者さんの負担が大きくなってしまううえ、「医療は非課税」の原則にも合いません。しかも、医療サービスの値段は2年に1回変わりますので、実際に医薬品や医療機器を仕入れる際に支払った消費税相当分に対して十分に「補填」がされているのかは誰にも分からないという状態になっています。
私たちは、患者さんや医療機関が消費税を負担しなくてすむよう、医療費を本当の非課税(ゼロ税率)にすることを求めています。詳しくは兵庫県保険医協会や全国保険医団体連合会のホームページなどをご覧ください。