2021年3月
【水曜】 膝半月板の損傷
半月板というのは膝の関節の中にあり、膝の上と下の骨(大腿骨と脛骨)の間にはさまって、骨と骨の間隙をうめるような形をしています。弾力のある軟骨でできていて、クッションのような作用や、関節の動きを助けるという大切な働きがあります。内側と外側に1枚ずつあり、それぞれ内側(ないそく)半月板、外側(がいそく)半月板という名前がついています。
この半月板に力が加わって断裂したものが、半月板損傷です。半月板損傷が起こると、関節を曲げたり捻ったりする動きにともなって断裂した部分がずれ、骨の間にはさまって、症状として痛みや引っかかりが起こります。MRI検査は診断のための有力な手がかりとなります。
半月板損傷には、スポーツ外傷や事故などで1回の外力によって起こるものと、年齢による変化(これを変性と呼びます)により少しずつ傷ついてきた半月板が、はっきりした外力なく断裂してくるものとがあります。この後者のタイプは「変性損傷」と言われ、内側半月板の後ろの方によく起こります。
中高年齢の方の変性損傷では、当初はかなり痛くても、2-3ヶ月の経過で症状が治まってくることも多くあります。期間がたっても症状が続く場合、または断裂した半月板が骨の隙間に引っかかって外れなくなり膝が伸びなくなる(ロッキングと言われます)など症状が強い場合には、手術が必要になります。
手術では関節鏡を使った手術によって、断裂した部分を切除したり、縫い合わせたりします。内視鏡を使った手術ですので、キズは小さく、とくに切除を行った場合は、術後の回復も早く、翌日から歩くこともできます。しかし、切除を行った半月板は再生することはなく、クッションの一部を失った関節になるので、その後の悪い影響が心配されるところとなります。したがって、特に変性損傷の場合は、まずはリハビリテーションなど、手術以外の治療を行って経過を見ることになります。
さきにお話したような症状のある方は、整形外科医を受診し、しっかりとした診断と評価をうけ、治療方針について相談されることをお勧めします。