2021年4月
【金土日】双極性障害とは
双極性障害は、かつては躁うつ病と呼ばれましたが、精神疾患の中でも気分障害に分類される疾患の1つであり、厳密に言えば、うつ病とは違います。しかしながら、双極性障害のうつ状態は、うつ病の症状と非常に似ていますし、初診時には70%の人がうつ病などと診断されているという報告もあります。うつ状態と対極にある躁状態も出現し、これらを繰り返す病気を、二つの対極を有する障害ということで双極性障害といいます。
双極性障害は、躁状態の程度によって2つに分類されます。家庭や仕事に重大な支障をきたし、人生に大きな傷跡を残してしまいかねないため、入院が必要になるほどの激しい状態を「躁状態」といいます。一方、端から見ても明らかに気分が高揚していて、眠らなくても平気で、普段より調子がよく、仕事もはかどるけれど、本人も周囲の人もそれほどは困らない程度の状態を、軽い躁の状態、すなわち「軽躁状態」といいます。
心の状態を自動車のブレーキに例えますと、うつ状態はブレーキがかかりすぎた状態であり、億劫になり、動けなくなります。反対に躁状態になりますと、ブレーキがかからない状態で、思いついたままに行動し、家族や周囲とトラブルに至ることもあります。
病状が不安定になるきっかけとしては、季節の変わり目や環境の変化などのストレスが影響を及ぼすことがあります。
安定した心の状態を保つためには、薬物療法が必要となります。症状が悪いときのみならず、安定している時も、再発予防のために内服治療が必要です。特に躁状態では病気である意識に欠けることがあり、薬を飲まなくなってしまうこともあります。
最近では躁状態の再発予防のために月に1回の持続性の注射が使えるようになりました。血中濃度が安定し、内服よりも副作用が少なく、毎日薬を飲む煩わしさがなく、飲み忘れの心配もありません。
早い段階で治療を軌道に乗せ、再発を防ぐことで、それまで築いてきた人生を何ら損なうことなく、普通に生活を送ることが十分に可能です。