2021年4月
【月曜】 川崎病とは
川崎病って聞いたことがありますか。4歳以下の子ども、とりわけ1歳前後の乳幼児がかかりやすい病気です。1967年にこの病気を発表した川崎富作先生の名前が由来です。アジア系の人々に多く見られ、毎年1万人以上の子どもがかかっていると言われています。原因はまだはっきりしていませんが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけに、人の免疫が過剰に反応し、全身の血管に炎症を引き起こしてしまうことが原因と言われています。
川崎病の症状には次の特徴的な6つの症状があります。①38 ℃以上の高熱が5日以上続く、②白目の部分に血管が浮き上がるように赤くなる目の充血、③唇、舌の乾燥や充血。特に"いちご舌"と呼ぼれる赤いブツブツが目立つ、④大きさや形が異なる赤いまだら状の発疹、⑤手足が赤く腫れ、指先の皮が剥がれむける、⑥首のリンパ節の腫れ、です。
これらの6つの症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状と心臓の血管に動脈瘤がみられた場合は川崎病と診断します。主症状のほかに全身の血管の炎症により、BCG接種部が赤くなる、関節の痛み、下痢などの症状を訴えることもあります。小児期に急に発熱する他の病気に比べ重症で、ぐったりしてしまいます。
通常、急性期の1、2週間で回復しますが、症状の強い場合は1か月以上続くことがあります。炎症が強いときは急性期後に、心臓に栄養を与えている冠動脈に瘤(こぶ)、つまり動脈瘤ができることがあります。
このため治療は、発症した直後の急性期より炎症を抑える治療が必要になります。炎症を抑え、動脈瘤の発生を防ぐためにアスピリンの内服とγ-グロブリンの点滴療法がおこなわれます。急性期の高度な炎症に対してはステロイド薬や抗TNF-αという薬の点滴注射、さらに患者さんの血液成分を入れ替える治療などが症状に応じて行われます。その後も血栓形成の予防として血液をサラサラにするアスピリンの服用を2~3か月続けます。特に、冠動脈障害がある場合は、経過観察、定期的な検査、抗血小板薬の内服がきわめて大切です。
川崎病は、一見、風邪の症状と見分けがつかない場合があります。本日紹介したような、特徴的な症状がある場合には主治医の先生にしっかり伝えて受診してください。