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健康情報テレホンサービス

2021年6月

【水曜】皮膚の扁平苔癬

 扁平苔癬 (へんぺいたいせん)は皮膚および口の中に発生しますが、本日は皮膚にできる扁平苔癬について、説明します。扁平苔癬は皮膚の慢性的な炎症性の病気で、手関節や体、あるいは膝から下の脚の部分あるいは性器などに小さな発疹ができ、それらが一緒になって、平たく隆起して、表面がざらざらした皮膚症状を形成します。痒みが強く、やや赤紫色になるのが特徴です。急性の時は、皮膚表面のひっかき傷などの小さな傷に、新しい発疹ができます。これをケブネル現象といって、この病気の特徴の一つです。慢性化すると、発疹は様々に変化した皮膚症状を作ったり、水疱に発展することもあります。また爪にも扁平苔癬ができることがあります。爪にできた場合は、爪が変色したり爪が薄くなったり、凹凸が出たりしてきます。

 原因は、皮膚の細胞が自分の皮膚を攻撃する、いわゆる自己免疫反応と考えられていますが、ウイルスや飲み薬、歯の治療に使う金属のアレルギー反応で発生することもあります。ウイルスでは、B型肝炎やC型肝炎のウイルスが考えられています。飲み薬では、狭心症や不整脈の治療薬であるβ遮断薬、非ステロイドの鎮痛剤、血圧を下げる薬、血糖値を下げる薬、あるいはある種の利尿剤などがあります。歯の治療に使う金属で起こる場合は、主として口の中に症状が出てきます。

 治療は症状が無ければ、何もしなくても治癒することもありますが、多くの場合は非常に痒いので、つけ薬や飲み薬を使います。つけ薬の第一選択は、ステロイド軟膏です。それでも治らない場合は、ステロイドを塗ったテープ剤を貼ったり、ステロイド軟膏を塗った後に、夜にポリエチレンのラップを密着させる密封治療を行ったりします。これでも治らない時には、発疹に直接ステロイドの注射をすることもあります。痒みが強いときには、抗ヒスタミン剤の飲み薬を併用します。また飲み薬が原因の場合は、その薬を中止しない限りは治ることがないので、薬を変更してもらう必要があります。薬を変更しても、症状が長引き、時には何年も続くことがあります。

 扁平苔癬の診断は難しく、他の病気のこともあるので、皮膚を切除して、顕微鏡で調べる場合もあります。また薬が原因の場合は、血液検査やパッチテストなどの検査が必要です。いずれにしてもまず、皮膚科専門医を受診してください。

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