2021年8月
【水曜】 乳児血管腫とは
乳児血管腫は別名、いちご状血管腫ともよばれ、多くは生後2週間以内に発症します。最初は小さな赤い平坦な皮膚としてみられ、生後2,3ヶ月頃に急激に増大し、膨らんできたり、皮膚表面で平らに広がってきたりする場合があります。生後6ヵ月から1歳までに最も広がり、その後しだいに小さくなり消えていく傾向がみられるのが特徴です。徐々に消えていくには数年かかると言われており、完全にきれいに消失してしまう場合もありますが、血管腫が大きくなっていた場合は消えるにしても赤い色調が残る場合や、赤い色が薄くなってもシュワシュワした膨らみのある皮膚のあとが残る場合があります。全身のどこにでもみられますが、頭頚部に多いと言われています。血管腫は、瞼の周囲にできて弱視となる可能性があり、また鼻やのどのあたりで広がって息が苦しくなり、生命に危険を及ぼす可能性もあります。あるいは出血したり、ただれたり、消えた後に美容的に問題となるようなあとが残る場合は積極的な治療介入が必要となります。
近年、ヘマンジオルシロップという飲み薬が承認され、生命を脅かすような場合や出血潰瘍を生じている場合などは内服治療の絶対的な適応と言われています。飲み薬の開始のタイミングは生後2,3ヶ月頃に開始するのがよいとされ、約6ヶ月程度治療を行います。また美容面が問題となる場合は色素レーザー照射治療を併用し、飲み薬の適応がない場合でも治療を希望される場合は色素レーザー照射治療を行います。色素レーザー照射治療も飲み薬の治療も、開始はできるだけ早い方がよいと考えられています。
1ヵ月検診では血管腫が小さく何もする必要がないとなっても4ヶ月検診時には、あっという間に血管腫が大きくなってしまったケースはよくみられます。適切な時期に治療を開始することで増大傾向を抑制し、残るあとをできるだけ小さくすることも可能となります。とくに乳児血管腫の部位が顔面や頭頚部、臀部外陰部、肩や背中の場合、体幹や腕や脚であっても病変が大きい場合は生後3ヵ月以内、できるだけ早い時期に専門医に治療相談をすることをお勧めします。