2021年9月
【金土日】ボーエン病とは
皮膚は一番外側にある表皮とその下にあるややしっかりした組織である真皮からなります。その下が皮下脂肪です。ボーエン病というのは皮膚の表皮内に生じる癌です。ボーエン病を生じた皮膚は赤く、境界は明瞭で通常は一個だけ生じます。形は円形であったり地図状だったりします。表面はざらざらで細かいフケのようなものが付着していますが、比較的平らです。時にもりあがることもあります。米粒大の小さなものから手の平ぐらいの大きさやもっと大きくなることもあります。体幹や下肢、陰部に多く発生します。原因は不明ですが、紫外線やウイルス、多発する場合はヒ素の摂取が関連するともいわれています。
専門家が診ると診断がつくことが多いのですが、他の皮膚病との鑑別がむずかしい時は一部をとって顕微鏡で検査します。何もしないまま進行すると真皮内に癌が広がったり、リンパ節転移や内臓転移をおこすこともあります。
ボーエン病は初期ならその部分を切り取って完治させることがほとんどです。小さければ日帰りの部分麻酔で切り取ったあと、傷を直接縫い合わせて閉じます。大きい場合は切り取った後の皮膚欠損が大きく直接縫合することはできないこともあります。そういう場合は、植皮術など手術が複雑になり入院が必要になることもあります。なるべく小さいうちにみつけて早めに治療することが大事です。放っておくと表皮よりさらに深く進行したボーエン癌になり、病変の切除だけでなくリンパ節の郭清や放射線療法、抗癌剤の投与などが必要になることもあります。
ボーエン病はきちんと治療すれば完治する可能性が高い病気です。しかし放っておけば死に至たる癌であることを忘れてはなりません。年をとってから急にできた赤い発疹で、なかなか治らない場合はさわったり、こすったりせずに早めに皮膚科を受診してください。ボーエン病は早くみつけて切除すれば治せる病気です。