2021年10月
【月曜】 帯下(おりもの)について
帯下(たいげ)とは、膣の分泌物のことで,いわゆる〈おりもの〉のことです。正常な状態でも、排卵期には透明なおりのもが増加します。ですからおりものがあるからといって全てが病的なものとは言えません。通常の帯下や僅かな匂いだけでしたら、日頃から締め付けるような下着やズボンをさけ、デリケートゾーンの清潔を心がけることでセルフケアーが可能です。帯下用のナプキンやデリケートゾーン用の石鹸なども販売されていますので、それらを活用されるのもいいでしょう。最近では、膣内環境を改善する乳酸菌の製剤も販売されています。
健康な女性の膣内にはデーデルライン桿菌(かんきん)という善玉菌がいて 膣内を酸性に保ってくれています。一方で、悪玉菌の代表は、カンジダです。これはカビの一種で、体の抵抗力が落ちたときに体内で増殖します。もろもろした白色の帯下が増加し、外陰部に強い痒みを伴います。糖尿や肥満の方、体の抵抗力の落ちた方は、カンジダに罹患しやすくなります。健康な方でも産前産後に月経が無くなった時や、抗生剤を内服した後などは、注意が必要です。軽症のものなら市販のデリケートゾーン用の軟膏で軽快することもありますが、自己判断でステロイド軟膏などを使用すると症状を悪化させるので、このような症状のある方は、一度 婦人科医にご相談下さい。
性交渉の後に、帯下が増加し性感染症に気づくこともあります。黄色く泡立つような帯下と痒みは「トリコモナス膣炎」の特徴です。トリコモナスは原虫とよばれる微生物です。最近増加しているクラミジアも 膣炎や子宮頸管炎を起こし、膿のような帯下の増加や腹痛を起こすことがあります。コンドームの使用などを日頃から徹底していただくことは言うまでもありませんが、お互いに病気をうつしあう、いわゆるピンポン感染を防ぐため、女性だけでなくパートナーの男性も同時に治療する必要があります。
いつもと違う色の帯下や悪臭のする帯下は、婦人科系の異常を示す危険なサインでもあります。閉経後の萎縮性膣炎や子宮頸がん、膣内異物や雑菌による細菌性膣症など、気になることがあれば婦人科の専門医にご相談いただけば良いでしょう。