2021年12月
【木曜】 Bell 麻痺(末梢性顔面神経麻痺)
Bell 麻痺とは、顔の片方に起こる表情筋の運動神経がうまく動かず、不十分な動きになったものです。寒いところに曝されたり、妊娠中等に起こることもあり、かつては原因不明と言われていましたが、今日では単純ヘルペスウィルスの再び活発になることが原因とされています。
なお、脳の病気等による顔面神経麻痺の場合は額のシワを寄せることが出来ないことでBell 麻痺との区別をします。末梢性顔面神経麻痺は中耳炎、けが、耳の腫瘍等も原因となります。Bell 麻痺の主な症状は、片方の顔面神経麻痺です。他に舌の前方 2/3 に起こる味覚異常、麻痺の起こった方の耳の後ろの痛み、涙の量が減ることによるドライアイ・瞼を閉じられなくなったり、鐙骨筋肉の麻痺による聴覚過敏を起こしますが、80%は完治します。2~ 3カ月後に再発することもあります。注意すべきはHunt 症候群といって、帯状疱疹ウイルスが原因の時です。抗ウイルス薬やステロイドで早期に治療しないと、たとえ命にかかわりはなかったとしても、日常生活 において、顔面の表情筋である口輪筋と眼輪筋が同時に動いたり、眼を閉じることが不完全になったりする、顔面拘縮という厄介な後遺症が起ります。顔面にゆがみができたりすることのためです。特に若い女性に発症することもありますので早急にかかりつけ医を受診し抗ウイルス薬や、神経のむくみをなくすためのステロイド投与が必要です。治療開始が遅れると予後が異なるため、Bell 麻痺と Hunt 症候群の早期の鑑別が極めて重要です。
水疱が耳介に存在しなくても、Bell 麻痺でなく Hunt 症候群の場合が20%あり最近、腎毒性のない高齢者にも安心して投与できる抗ウイルス薬もあります。早急に投与することにより完治可能となりました。