2021年12月
【水曜】 お薬手帳は貴重です―医師の立場からー
皆様は、調剤薬局や診療所の中で薬をもらう際に、お薬手帳をもらっていますか?
お薬手帳の存在は、我々医師にとっては、その人が通院している病院や診療所が一目でわかる、非常に貴重な資料です。お薬手帳に書かれている内容は、①病院・診療所の名称 ②
担当している医師の名前 ③日付 ④薬剤名 ➄服用の仕方と処方日数 ⑥その薬剤の効果 ⑦その薬剤の副作用 ⑧薬局名 ⑨薬剤師名 などが記されています。これらの情報があれば、その患者さんがいつ頃から、どういう病気でどこに通院し、どういう薬をもらっているかが一目でわかります。また複数の医療機関に通院している場合でも、この手帳を見れば直ぐに見ることができて、通院している各病院や診療所には、非常に貴重な資料になります。最近、お薬手帳を持ち運びすることが面倒だという理由で、スマホなどに薬名だけを登録する人が目立っています。しかしこれでは、いちいちスマホを操作して、そこだけを医師に見せるだけに留まり、また複数の医療機関に罹っていても、自分の都合の良い資料のみしか医師に見せないこともあります。例えば精神科などに通院している場合などです。現在問題になっているポリファーマシー、つまり同時に多くの薬を飲んでいる場合は、薬がダブっている場合もあり、また同時に飲むことにより、副作用が起こったり、薬の効果が薄れたりすることもあるので、お薬手帳に記されている情報をすべて知ることが、我々医師にとっては、患者さんに最適な医療を行う上で非常に重要です。また、スマホの資料はコピーができず、カルテに貼り付けることができません。また、同様の薬が処方されることも、防ぐことができます。このように医師にとって、お薬手帳は非常に重要です。診療所の受付や調剤薬局で是非、お薬手帳をもらうことをお勧めします。そして、医療機関に罹る時は必ず、お薬手帳をご持参ください。