兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2021年12月

【月曜】 水痘(水ぼうそう)と予防接種

 最初に麻疹(はしか)の話をします。水ぼうそうも麻疹もウイルス感染によって起こります。この20年、麻疹の患者を見る機会が少なくなりました。麻疹は日本ではあまり見られない状態になっています。小児期に接種したワクチンのおかげで、たまに、外国からの輸入麻疹が報告され、話題になるほどの現状です。

 ところが、水ぼうそうは違います。水ぼうそうは麻疹に比べて重症度が低いと考えられ、ワクチンの定期接種が遅れ、最近になってやっと定期接種が実現しました。しかし、水ぼうそうは一部に皮膚の二次感染や脳炎・脳症などの中枢神経の合併症を引き起こし、免疫をもたない人たちには死に至る経過をたどることもある恐い感染症なのです。

 水ぼうそうのワクチンは、このような重症合併症を予防でき、免疫不全患者の命を守る事も出来る以外に、小児期のワクチンは将来の帯状疱疹発生頻度を低下させるといわれています。

 また、感染児童の隔離を解除する目安となるかさぶたができるには5~6日間を要し、その間、看護のために保護者が仕事を休まざるを得ないため、保護者の経済的損失も問題となります。水ぼうそうのワクチンの費用対効果を考えると、大変有効なワクチンだと考えられています。

 欧米では、20年以上前から水痘ワクチンの定期接種化が実現し、水ぼうそうの患者が激減しています。日本でも、今後ワクチンを接種した人たちの増加により水ぼうそう患者が減少すると考えられます。近い将来には、水ぼうそうも麻疹のように日本から根絶されることが期待されます。

 最後に、帯状疱疹についてお話します。水ぼうそうにかかった後に、ウイルスが患者の神経(脊髄近傍)に潜伏感染して、加齢やストレスによりウイルスが再び活発になって、帯状疱疹が発症します。帯状疱疹は、治療が遅れると帯状疱疹後神経痛が持続して治療が困難になります。50歳以上の人に増加しますが、水ぼうそうのワクチンはウイルスが再び活発になることを予防します。現在、国は50歳以上の高齢者に水ぼうそうのワクチンを接種して帯状疱疹を予防することを進めています。ワクチンは自費になりますが、接種されることをおすすめします。今後の啓発が重要で、このテレホンサービスが契機になれば幸いです。

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