2022年2月
【火曜】 小児の虫歯
はじめに、「虫歯菌」のお話をします。
虫歯菌は、酸をつくり出し、、ある酵素によって自分の周りに砂糖から粘着性の、水に溶けない、砂糖の一種であるグルカンをつくります。グルカンが形成されると歯の表面で他の口腔細菌とともに塊(プラーク、近年ではバイオフィルムとよばれる)が形成され、この中で産生された酸により、歯の表面からカルシウムなどのミネラルが溶け出されてしまいます。これが虫歯の始まりであり、虫歯菌と砂糖が虫歯の主犯格です。
・虫歯菌の定着
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はいませんが、母親の産道に生息する細菌は検出されます。この段階では「虫歯菌」がお口の中に入ってきても粘膜に長くとどまることは出来ず奥の方へ流れていきます。歯が生えてきてはじめて虫歯菌は歯の表面に住みつくようになります。すぐに虫歯になるわけではありませんが、砂糖を日常的に摂取するような状況がつづけば、菌が膜を形成し、初期虫歯が発症し放置すると歯に穴が開き齲窩(うか)という状態を生じます。
齲窩とはちょっと難しいことばですね。簡単にご説明しますと、齲(う)は訓読みしますと齲(むしば)とよみます。窩(か)は、あな、くぼみ、すみかなどの意味があります。つまり虫歯でできた穴のことです。
・お子さんの虫歯予防はまずご家族の口腔管理から
「虫歯菌」は主に菌を持っているご家族から唾液を介して子供に感染していきます。口移しで食事を与える、キスをするなどのスキンシップがお子さんに菌を感染させてしまう可能性があります。お子さんが虫歯になるリスクを減らすにはご両親,ご家族の口腔管理をしっかり行い家族ぐるみで予防を考えることが重要です。
ご家族の口腔管理を十分に行ってお子さんとしっかりとスキンシップを行ってください。足りないところは歯医者の出番です。上手に活用してくださいね。