2022年2月
【月曜】 目のヘルペス
ヘルペスウイルスには、単純ヘルペスウイルスと水痘帯状ヘルペスウイルスがあります。どちらのウイルスも神経と仲良しで神経に入り込みやすくなっています。眼科で診るヘルペス感染症には、今日お話する単純ヘルペスによる角膜ヘルペスと、帯状ヘルペスによる眼部帯状疱疹という二つの病気があります。帯状ヘルペスウイルスが、中高年の顔面、特に鼻や目、額の周囲に感染すると眼部帯状疱疹です。
ヘルペスと聞けば単純ヘルペス、つまり口の周りに起きる小さな水ぶくれができて、痛みなどの不快感をイメージされる方が多いと思います。角膜ヘルペスとは中高年よりも若い世代に多く単純ヘルペスウイルスが目の表面の角膜の表面いわゆる上皮や角膜の内側、で感染を繰り返し再発する病気です。単純ヘルペスウイルスは1型と2型に分けられ1型は顔面など体の上の方に感染し、2型は陰部など体の下の方に感染しやすくなります。つまり2型は性器ヘルペスの原因となりますが角膜ヘルペスの原因になることも少ないながらあります。ふつうは角膜ヘルペスの原因は単純ヘルペスウイルス1型です。健康な時には潜伏していて患者さんの免疫が落ちたときに活動をし始めます。子供の時にかかったヘルペスウイルスは神経節に隠れており月経や抗がん剤の使用、過労などで、患者さんの免疫力が落ちた時三叉神経節に潜んでいた単純ヘルペスウイルスが角膜にたどり着き、角膜表面に上皮型角膜ヘルペスを起こします。木の枝つまり樹枝状に潰瘍を起こします。
症状は目の痛みや、充血異物感などです。角膜知覚が落ちていることから補助診断として角膜知覚を調べることもあります。治療は抗ヘルペス薬の目薬と内服です。角膜ヘルペスは再発しやすいのでいったん収まっても体調不良時に再発します。角膜の内側で免疫の反応により病気が進行します。これが実質型角膜ヘルペスという病態です。角膜に円盤状の浮腫をおこします。さらに角膜の後ろには沈着物があります。角膜に、炎症によってむくみが生じ、にごった色をします。この状態では抗ヘルペス薬とステロイドの飲み薬の併用になります。