2022年3月
【木曜】 耳鳴りでお悩みの方へ
耳鳴りとは、まわりで音がしてないのに耳の中や頭の中でキーンとかジーンとかいう音がきこえる状態をいいます。すぐに消えてしまったり、くり返し鳴ったり、気になる程度は様々です。
耳鳴りはふつう難聴を伴いますが、精神的なストレスも影響します。阪神大震災の時は 不安のために難聴のない耳鳴りの方が多くみられました。からだとこころの両方が作用す る訳ですが、天候や気圧も耳鳴りと関連することがあります。耳鳴りを不快な雑音として 意職するようになると感覚がいつもそれにとらわれてしまうので治療が必要です。
なぜ耳鳴りはおこるのでしょうか。多くは難聴やストレスが続くと耳や脳の神経が興奮 状態になって、音の刺激がないのに聴こえの神経のスイッチがまちがって入ってしまい、 耳や脳で音が鳴っているように聞こえてしまうのです。耳鳴り音の高さと大きさを測る耳 鳴り検査、聴力検査、内耳の機能検査、レントゲン検査、CTやMRI検査などから原因をつきとめます。
どのような病気が耳なりをおこすのでしょうか。耳あかや耳の中に入った髪の毛などの 異物、耳と鼻をつなぐ耳管や耳の周りの血管の異常、中耳炎などの病気、大音量の音楽や音をきいた後の内耳の音響難聴、小さい音でも、長時間のイヤホン等の音、メニエール病や突発性難聴、内耳道や脳の腫瘍、脳出血、脳梗塞などが原因になります。全身的なものでは貧血、糖尿病、血圧の異常、甲状腺の病気、うつ状態、首や肩の凝りも関係することがあります。
治療は脳と聞こえの神経に効く血流循環改善薬やビタミン剤の他、漢方薬、抗うつ薬やけいれん止めなどの飲み薬による治療、耳鳴りを打ち消す音や音楽を聞く治療、また補聴器とカウンセリングを組み合わせた治療、神経ブロックや鍼、耳栓で楽になる治療法もあります。どうしても止まらない耳鳴りに対しては鼓膜の奥に薬を注入する治療法もあります。精神的な要素もある場合は呼吸法、自律訓練法や心理療法を用いることがあります。
大切なことはどんな時にどのような耳鳴りがおきて、めまいや喋りにくさ等の症状はないのか、睡眠や毎日の生活にどのくらい困っているかということを具体的に医師に伝えることです。
耳鳴り全てが病気ではありません。耳鳴りが単なる老化現象で生活に支障がなければそ のまま様子をみてもいいのですが、重大な病気の前ぶれのこともあります。気になる方は 一度耳鼻科で診察と検査を受けてみられたら安心できますね。