2022年3月
【水曜】 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)について
・①ピロリ菌とは何か
ピロリ菌は細菌の一種で、一定の割合の人の胃の中に住んでおり、慢性胃炎や胃潰瘍、また、胃癌など悪性腫瘍の原因であることが知られています。
・②症状としては
ピロリ菌に感染していても、通常は無症状で、検査を受けなければ自覚することはありません。ただ胃炎や胃潰瘍、胃 癌などの症状が出て医療機関を受診する方はあります。
・③診断は
ピロリ菌に感染しているかどうかは、血液検査で抗体を調べたり、呼気検査や便検査、胃カメラで胃粘膜の一部をとって調べることで診断します。最近は人間ドックを受けた際に指摘される方が増えています。また、ご自分からABC検診という胃癌になりやすいかどうかを調べる血液検査を受けて、診断されることもあります。
・④治療は
人間ドックやABC検診などでピロリ菌感染が指摘された場合、胃カメラを実施している医療機関を受診しましょう。保険診療では、胃カメラで慢性胃炎などの所見を確認することが治療の条件になっています。また人間ドックで胃カメラを受けて診断された方は、その時の写真などの診断資料を提示できれば、胃カメラを省略して除菌治療ができる場合もあります。治療方法は複数の薬剤を1週間飲むだけで、ほとんど大きな副作用はありません。
・⑤除菌治療のメリットは
治療によって除菌が成功するのは通常7、8割です。半年後に便検査などで治療の判定をします。この時除菌できていないことが判明した場合は、薬剤を変更して二次除菌の治療を受けることができます。除菌が成功すると胃潰瘍の発生や胃癌のリスクが軽減されるので、除菌治療のメリットは大きいです。ただし、除菌が成功しても胃癌になる場合もありますので、今後の胃カメラの頻度について主治医とよくご相談ください。