2022年3月
【火曜】 小児気管支喘息
小児における気管支喘息は、寒さなどの環境による刺激や風邪などの感染、またハウスダストなどのアレルゲンをきっかけに、発作的に気道が狭くなってゼーゼーしたり、咳をしたり、息苦しくなる病気です。
この病気のおこる頻度は近年上昇し、小学生低学年で10%、中高生で8%程度と言われています。
喘息発作の代表的な症状は、ゼーゼーとした呼吸、小鼻を開くような息遣い、息を吸うときに肋骨や喉の下が凹む呼吸などがあります。
気管支喘息の患者さんでは、気管支に慢性の炎症が起き、炎症が増悪すると喘息発作を起こします。発作が起きていない時も軽い炎症が続いて、炎症が慢性化した結果、気管支が狭くなって元に戻らなくなってしまうこともあります。そうなると長期にわたって喘息症状が持続するので、できるだけ炎症を鎮め、発作のない状態を維持することが大切です。具体的には喘息の症状が週に1回もなく、運動しても息苦しくなることはなく、発作の治療をすることも、発作を起こすこともなく過ごせる状態が目標です。
従って気管支喘息の治療は、狭くなった気道を広げて呼吸を楽にする気管支拡張と気道の炎症を抑えることが中心になります。
治療方法は年齢によって多少変化しますが、基本的には軽症のうちはアレルギーを抑える飲み薬や少量の吸入ステロイドを使用し、発作時には気管支を拡張するベータ刺激薬の吸入を行います。
ステロイドの吸入薬は、その副作用を心配される方もおられますが、喘息の重症度に合わせた適切なステロイド量の使用に関しては、副作用のリスクより、喘息治療の効果が勝るとされており、ためらわずにしっかり使うことが大切です。
また薬物による治療だけでなく、周囲の環境調整も大切です。埃っぽい環境やダニ、犬や猫の毛がある環境、また近くに喫煙者がいる環境は、子供の喘息をはじめとしたアレルギー症状を増悪させやすいと言えます。薬物療法ばかりに頼るのではなく、周囲の大人が子供の暮らす環境にも配慮してあげてください。
ほとんどの人は大人になるまでに喘息症状が消失しますが、20-30%の患者さんは成人の喘息に移行すると言われています。子供の長い人生を快適に支えてあげられるように、小児喘息を適切に管理していきましょう。