2022年4月
【月曜】 変形性股関節症
股関節は下肢と体の繋ぎ目である鼠径部という場所にあります。症状としては、初期には立ち上がる時、歩行時などに鼠径部や太ももの痛みが出ます。進行すると痛みのため歩行が出来なくなったり、関節の動きが悪くなるため日常生活での爪切り、和式トイレなどが出来なくなります。
変形性股関節症は女性の方で子供の時および発育時の股関節の形成不全によって起こることが多いと言われています。しかし近年では高齢化に伴い元来股関節に原因の無い方でも変形性股関節症を発症する方が多くなってきています。
診断は診察とレントゲンやCT検査が必要です。主にレントゲン検査によって病気の進行具合が前期、初期、進行期、末期と分類されます。
進行状態に応じて治療法は概ね決まりますが、どの状態であろうと体重のコントロール、運動療法、日常生活の指導が重要です。
体重のコントロールについては、股関節には体重の何倍もの負荷がかかるため、体重が多いのであれば体重を減らすことが、股関節の負荷を減らし症状の軽快をもたらすことが期待出来ます。
次に運動療法です。股関節周囲の筋力が低下すると、関節の安定性が悪くなり症状の悪化や進行を早めたりします。痛みがあるため運動が困難ではありますが、股関節に負担のかからないよう水中歩行や水泳など関節に負担のかからないような運動を、定期的に行うのがよいでしょう。
日常生活では簡単に言うなら痛みの出る動作は避けるようにして下さいということです。例えば階段で痛みが出るようなら階段を使わない工夫をする、和式の生活スタイルで痛みが出ているようなら出来るだけ洋式にするなどです。
そのようにしても病気が進行し、痛みも我慢できないようなら手術になります。その手術もいろいろありますが人工関節置換術が代表的な手術です。
人工関節置換術は痛みのもとになっている関節を人工の関節に置き換えて痛みをなくす手術です。以前より手術によって痛みをとる効果はすぐれていましたが、最近は体の負担も少なく、しかも人工関節の耐久性も格段によくなってきています。痛みが我慢できない方にはすすめられる選択肢かと思います。
股関節周囲に痛みがでれば早期に整形外科を受診し、正しい診断のもと適正な治療方針の指導を受けるようにして頂ければと思います。