2022年5月
【金土日】突発性難聴
難聴には、音を伝える部分が障害されて起こる伝音性(でんおんせい)難聴と、音を感じる部分が障害されて起こる感音性(かんおんせい)難聴があります。本日お話する「突発性難聴」は感音性難聴の一つです。
突発性難聴は、子どもから老人まで発病しますが、50~60歳が多いようです。その症状は健康な人が前触れもなく突然、中等度から高度の難聴になります。耳の痛みはなく、ほとんどの場合、片方で、1回限りの発病が多く、耳鳴りや、耳がつまった感じやめまいを伴うこともあります。
突発性難聴で注意してほしいことは、普段、人間は両耳で聞いているので、片側だけ聞こえにくくなって、もう一方が聞こえるため、難聴をあまり自覚できずに、耳鳴りや耳の詰まった感じ、めまいなどで医院を受診し、聴力検査ではじめて突発性難聴と分かることが少なからずあるということです。そして聞こえの具合は、発病後1カ月くらいで固定し、それ以降は、改善は難しいと考えられています。だから早期の受診と治療が大切です。
原因は、おたふく風邪、単純ヘルペス、パラインフルエンザ等のウイルス感染と内耳の血液やリンパ液の循環が悪くなることが有力と考えられていますが、まだ明らかになっていません。ストレスや過労、睡眠不足などがあると起こりやすいことが知られています。
治療に関しては、まず安静にして、入院か通院でステロイド薬、血管拡張薬の飲み薬や点滴を行うことが多いですが、高圧酸素療法という治療法が有効なこともあります。
突発性難聴は、完全に良くなる方が3~4割、ある程度良くなる方が3~4割、残りの2割ほどの人は良くならないと言われています。一般に感音性難聴は治療が困難と言われていますが、突発性難聴は早期に見つけて早期に治療すれば治る可能性の高い数少ない感音難聴です。
突発性難聴を見落とさないために、突然の片方の難聴や耳鳴り、耳が詰まった感じ、めまいなどがありましたら、早めに耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。