2022年6月
【金土日】ステロイド剤(外用・内服)の効果と副作用
医療で単にステロイド剤といえば副腎皮質ホルモンを人工的に合成し製剤化したものを指します。
本来は体内で分泌されて糖や脂質などの代謝や免疫の調整などを行っています。
治療に使う時には、主に炎症や免疫を抑えて症状の悪化を防ぐことを目的にしています。
薬の使い方には飲んだり塗ったり注射をしたりと様々な方法があります。
内臓や関節など全身の広い範囲に及ぶ病気ならば飲み薬や注射薬として、皮膚の病気ならば塗り薬で使用するのが一般的です。
治療の対象になる病気には関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病や気管支喘息、免疫の異常による肺炎、腎臓病、皮膚病のほか様々なアレルギー疾患などがあります。
最近ではコロナ肺炎の重症化予防に使用されたりすることもあります。
非常に効果的な薬で時には一度にたくさんの量を使用する事もありますが、使用量が多くなったり使用期間が長くなったりすると様々な副作用が起こることが分かっています。
それを十分に理解した医師のもとで適切に使用される限りは大きな心配はありません。
皮膚病では特にアトピー性皮膚炎の治療の際にステロイドの塗り薬を怖い薬と考えて使用をためらう方がいます。
最近はアトピー性皮膚炎の治療にも様々な免疫を調節する薬が使用される様になっていますが、今でも基本はステロイドの塗り薬を使用する事に変わりはありません。
以前は皮膚炎が少し落ち着くと副作用を心配して塗るのを控え、少し悪化してから塗るリアクティブ療法という治療が広く行われ、完全に良くなる前に塗らなくなることで、一部では次第に湿疹の悪化を経験していました。
最近ではアトピー性皮膚炎の症状には表面に見えない隠れた炎症がある事がわかって、それを抑えるために皮膚炎が良くなってもステロイドをある程度続けて塗るプロアクティブ療法という治療が行われ、湿疹が再燃しないようになっています。
またリアクティブ療法に比べてプロアクティブ療法の方が結果として使用するステロイド量も少なくなり経過も良好です。
副作用のない薬ではありませんが、適切に使用する事で高い効果が得られますから、自己判断せずに医師に相談しながら治療を継続することが大切です。