2022年7月
【月曜】月経困難症
月経困難症とは、月経(生理)の期間中に、月経に伴って起こる病的症状のことで、頭痛、吐 き気、腹痛、疲労、脱力感、食欲不振、いらいら、下痢、憂鬱などです。一般的には 排卵のない月経時には発症しにくいといわれています。月経困難症には何らかの原因となる病気があることで起こる器質性月経困難症と、原因となる病気がない機能性月経困難症があります。 器質性月経困難症は初経後5年以上経過して発症するようです。その原因としては子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症あるいは子宮の形の異常などが考えられています。 月経中以外にも痛みが起こる場合があります。機能性月経困難症には、月経の血液、即ち月経血を排出するために子宮を収縮させる物質であるPG(プロスタグランジン)の分泌が多す ぎて子宮が収縮しすぎることや、子宮頚管(子宮の出口)が狭いことが痛みの主な原因です。この 場合の月経困難症は経膣分娩後は改善します。大部分の月経困難症がこれにあたります。初潮を迎えた2~3年後から起こることが多いようです。
初めにお話ししましたが、器質性、 機能性いずれの場合も症状で最も多いものは、月経時の痛みです。腰痛や腹痛のほかに、肛門周囲に痛みを感じることもあり、これらの痛みは子宮内膜症や子宮腺筋症を合併する場 合に多くみられます。診断には詳しい問診、必要に応じて内診や超音波検査、血液検査、細 菌培養、クラミジア抗原検査、画像検査(MRIやCT検査)などを行ない、月経困難症の原因となる病気の有無を調べます。診断が確定すれば、治療に移ります。器質的な原因がなければ、鎮痛薬(非ステロイド抗炎症薬)、鎮痙剤、漢方薬を使用します。一般的に痛くなる前に内服するほうが効果的です。しかし、これらの治療が効かなければ、ホルモン剤を使い月経周期を変えたりします。器質性月経困難症ではその原因となる疾患の根治治療をします。又、運動不足による血流不全や、心理的、社会的背景が関係している事も多く、カウセリングや心理療法が行われることもあります。