2022年8月
【水曜】 腸閉塞とは
腸閉塞とは、腸が詰まる状態を言います。異物や腫瘍により腸の内容物が閉ざされた状態を言います。
何らかの原因で腸の動きが低下する「腸管麻痺」が起こる場合もあります。
腸閉塞の原因はおおきく2つあります。腸の管の中を塞いでしまうことで起こる場合と腸そのものがねじれてしまう場合です。
腸の管の中を塞いでしまう場合とは、腸管壁に良性の粘膜下腫瘍や、悪性の腫瘍、例えば大腸癌ができて徐々に大きくなった場合です。どちらの腫瘍にせよ大きくなれば管腔は狭くなるので、腸閉塞を起こすことになります。
一方、腸が捻れてしまう場合とは、子供や高齢者に見られる腸がお腹の膜から飛び出てしまう脱腸すなわちヘルニアをきっかけとした状態があります。しかし最も頻度が多いのが腹部の手術をした後の癒着によって紐状のバンドができたり、腸管の癒着そのものでねじれて詰まることです。
症状としては主におなかの張り、腹痛、吐き気、便秘です。
腸閉塞をきたす場所によって症状の出方は様々です。
頻度の多い術後の癒着による場合は症状が改善しても繰り返すことが多くあります。
ヘルニアが原因である場合は鼠径ヘルニアなどのおなかが膨満した状態が観察されたりする場合もあります。
また中年以降の場合ではS状結腸、直腸癌が原因で腸閉塞をきたすことがあります。管の直径が大きい上行結腸では閉塞をきたすことは少ないです。
検査方法は、画像検査が有用で腹部レントゲンや腹部超音波検査、CT検査などが診断の決め手となります。
治療方法はまずは絶食と安静です。
絶食と安静で改善しない時は経鼻胃管またはイレウス管と言って鼻から管を通して拡張した腸管まで挿入し内容物を吸引するような治療が必要になります。
激しい痛みを伴う場合は血行障害といって血流が止まり、腸が壊死という状態になる可能性が高くなるため緊急手術が必要になることがあります。
大切なことは症状が繰り返されること、だんだん悪化してくることに対して年のせいだ、とかすぐによくなるだろうとか自己判断しないことです。何事も早期診断、早期対応が大切です。