2022年10月
【木曜】 すい臓がんの話
すい臓がんは特別な症状がなく発見が難しい病気です。また早期に発見されることは少なく診断された時点ではすでに他の臓器への転移があり手術ができないこともよくあります。日本国内では年間約42000人がすい臓癌と診断されます。胃がんは約12万人でそれに比べると少ないですが、死亡者数は年間4万人弱で胃がんと同程度です。癌と診断され5年後に生存している率は約7%で、胃がんの70%に比べると非常に厄介ながんといえます。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。すい臓は消化液や糖尿病にかかわるインスリンを分泌していますが癌が発症してもすい臓の働き自体は低下しません。癌が進行していれば腹部不快など多少の症状が出ますが早期から中期では特有な症状は殆どありません。
すい臓は胃の裏側、おなかの奥深く背中側にあります。腰や背中が痛くなりすい臓がんを心配してくる患者さんも多くいます。癌に関係のない腰痛などが殆どですが、心配な方は主治医に相談し検査を受けましょう。
さてどのような検査が必要でしょうか。血液検査ではアミラーゼ、エラスターゼⅠ、CA19-9などがあり、更にエコー、CT、特殊な内視鏡検査などです。ただ健康保険の制約などで誰でもいつでもすべての検査を受けることができるわけではありません。
では治療のお話です。比較的早期なら手術ですい臓の一部と十二指腸や胆嚢などを切除します。かなり大きな手術ですが技術の進歩により比較的安全で術後の経過も良好です。がんの進行度に合わせ手術、抗がん剤、放射線などを組み合わせた治療をします。早期なら手術で治るので早期発見は非常に大切になります。決定的な予防策はありませんが、糖尿病をお持ちの方や肥満の方、喫煙や大量のアルコール摂取などには気を付けましょう。日ごろから腹部の不快感などが続く人は、胃がんなどの場合もあるのでかかりつけ医や消化器専門医に相談してみて下さい。