2022年10月
【火曜】 膀胱炎
膀胱炎は、日本人女性の半分がかかる病気として知られています。膀胱炎が女性に多い理由としては、女性のほうが男性よりも尿道が短いこと、尿の出口と肛門や腟の距離が近いことなどが挙げられます。つまり、女性のほうが体の構造上、細菌が膀胱内に入りやすいため膀胱炎を起こしやすいといわれています。男性では炎症は前立腺に起こるため、膀胱に炎症が及ぶのは糖尿病などの基礎疾患が伴っていることが多いです。
膀胱炎は、膀胱の中に細菌が入り、膀胱の粘膜に炎症が起こることによって発症します。ただし、膀胱の中に細菌が入ったからといって、すぐに膀胱炎になるわけではありません。睡眠不足やストレスなどで体の抵抗力が落ちているとき、尿を我慢したときなどに膀胱の中で細菌が増えると炎症が起きて膀胱炎の症状が現れます。女性の場合には、月経前後や性行為後などに膀胱内に細菌が侵入しやすいといわれています。健常な方の場合、尿管が膀胱に入る部分に逆流防止機能があることによって、尿が腎臓へ逆流することはありません。また、尿によって洗い流されるため、本来、腎臓内は無菌状態です。しかし、なんらかの要因により、菌が尿道から膀胱、膀胱から尿管へと逆流し、腎臓に達して増えることがあり、その場合は発熱を伴う腎盂腎炎が起こります。その場合は、膀胱炎よりも治療に時間を要することも多く、点滴での抗生剤投与が必要となることも少なくはありません。
膀胱炎の治療は抗生物質の内服を行います。ただし、最近では抗菌薬に抵抗する力のある菌(耐性菌)が増えてきているので、治療効果の期待できる抗菌薬を的確に選ぶ必要があります。
医療機関で処方された抗菌薬を数回内服すると症状が改善することが多いため、途中で内服をやめてしまう人がいます。途中で内服をやめると症状が再び起きることや、抗生物質が効かなくなる菌、いわゆる耐性菌をつくることがあるので、指示された期間は必ず内服するようにしましょう。
薬以外の治療法としては、水分を取ることによって、尿と共に膀胱内で増殖した菌を外へ出すことができるため、治療かつ予防という点では十分な量の水分を摂る事が大切です。