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健康情報テレホンサービス

2022年12月

【水曜】 気胸について

 気胸とは何らかの原因で肺に穴が開いたために空気が漏れ、肺がしぼんでしまう病気です。気胸になると突然胸に痛みを感じ、咳が出たり息苦しくなったりします。
 気胸は原因によって自然気胸と外傷性気胸に大きく分けられます。自然気胸は10代後半から30代のやせた若い男性に多く見られます。このような若い男性は肺の表面にブラというふくらみができやすく、そこに穴が開いたとき自然気胸を発症します。
 また喫煙によって発症した肺気腫が原因となる自然気胸は、二次性自然気胸とも呼ばれ、60代くらいの喫煙者に多く見られます。一方、交通事故や刃物が刺さるなど、外傷が原因で肺に穴が開く気胸を、外傷性気胸といいます。
 自然気胸の発症頻度は男性に多いのですが、まれに女性にも発症することがあります。その場合、子宮外内膜症によって子宮内膜が横隔膜に付着し、それが月経時にはがれて穴が開き気胸を発症する「月経随伴性気胸」を考慮する必要があります。月経随伴性気胸は月経のたびに気胸を繰り返し発症することが多いので、専門医に相談することをお勧めします。
 気胸は、胸部レントゲンやCTで診断することができます。肺がどの程度しぼんでいるかによって、軽度、中等度、高度気胸と分類されます。また高度気胸の中には肺から漏れた空気が心臓を圧迫する緊張性気胸になることがあり、血圧が低下したりショックを起こしたりして命の危険を伴うことがあります。
 軽度気胸なら安静のみの保存治療で治癒することも多いのですが、中等度から高度になると、胸の中にチューブを挿入して漏れ出た空気を排出するドレナージ処置が必要となります。肺に空いた穴は自然にふさぐこともありますが、そうでない場合は穴をふさぐために手術が必要となります。また何度も気胸を再発する場合も手術の適応となります。手術では穴の開いた部分を周囲の肺も含めて切除します。最近の手術は胸腔鏡下手術で行われるので、傷口も小さく、侵襲を少なく済ませることができます。
 突然の胸の痛みや呼吸困難を感じた場合は、気胸の可能性があるので早めに医療機関にご相談ください。

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